今日の躓き石 大阪地方大会 夏の陣の「リベンジ」 毎日新聞
2017/07/29
本日の題材は、毎日新聞大阪夕刊三版の社会面である。全国高校野球大会地方大会、つまり、大阪大会の「準決勝」の話題であるが、試合結果の報道ではない。言うならば、紙面を費やして報道する意図が不明である。他のメディアでは、程なく試合結果が報道されるから、ここに大々的に書き立てる意義はないのである。
両チーム主将の談話は、まことにスポーツ精神に満ちたものなのだが、後者のチームの主将談話に、担当記者が無神経に「リベンジを誓った」と重ねているのが、何とも気の毒である。「誓った」と勢いを付けて言うが、新聞記者に対して、ことさらに誓ったとでも言うのだろうか。まことに、けったいな言い回しである。名門校の主将達だから、メディアに向かってつまらないことは言わないはずである。
それにしても、この記事の担当記者は、ちょっと古い感覚なのだろう。最近、世間では「リベンジ」とは再挑戦のことであり、忌まわしい、血なまぐさい復讐、雪辱の意味となっていない。公然と口にすることを恥じるべき、禁句となるべき、カビの生えた常套句と最近のつまらない常套句の区別が付いていないようで、不用意である。
それでなくても、一般読者に意味の通じないカタカナ言葉である上に、調べてみてもどちらの意味か通じない、そして、その意味からして不穏当で闇に葬った方が良い言葉を、全国紙の記者が、なぜ使いたがるのか、よくわからない。ダイハードと気取っているのだろうか。
それにしても、「リベンジ」の汚染範囲は、スポーツ面だけと思っていたら、社会面も悪習に染まっているらしい。毎日新聞は、担当記者の軽率さを戒めるのを怠り、自壊の道を辿っているのだろうか。
全国紙は、ほぼ宅配で売れているのだから、スポーツ紙と競い合って、つまらないはやし立てなどしなくても、ちゃんと売れていくものではないか。次世代に安心して伝えられる言葉で紙面を綴って欲しいものである。
以上