今日の躓き石 毎日新聞「雪辱」のレジェンド
2017/07/25
本日の題材は、毎日新聞大阪朝刊第十三版のスポーツ欄である。
当プログでは、スボツー報道にはびこる最悪表現「リベンジ」を、テロリスト集団ISに共感するような負の報道として非難してきたが、言葉の意味、背後の精神から見ると、「雪辱」も、かなり問題を含んだ常套句であるから、一度、毎日新聞として、真剣に適否を考えて頂きたいのである。
本当に、スポーツ選手の健闘は、この言葉で騒ぎ立てるしかないのだろうか。
「雪」の趣旨は、何か汚れたものを洗い、すすぐと言うことを、殊更大仰に言ったものなのだろうが、「辱」の趣旨が何であるか、当然、世代によって受け止めに違いがあるだろう。
当方としては、選手が、以前、当然勝つべきと考えて、多くの支援を集めていた「勝負」で、誰かに、それとも何かに妨害されて、大変な恥を受けてしまった心の傷があり、とにかく、何があっても、今度こそ、そいつに仕返しして勝つんだ、という一途な感情を伝えようとしているのではないかと、つい感じてしまうのである。
多分、そのような感じ方は、当方のような年配世代の因習なのだろうが、紙面で「雪辱」の見出しを見ると、何と大時代の軍国主義ではないかと感じる読者も少なくないのではないかと懸念するのである。個人の感性は、人それぞれなので、常套句の使い回しには、慎重であって欲しいのである。
私見であるが、「雪辱」は、前世紀の遺物、負の「レジェンド」として、闇博物館入りさせた方が良いのではないかと思う次第である。
それにしても、「勝ってうれしい」と「負けてくやしい」は、子供の花いちもんめから親しんでいるが、世界の場で競い合う選手達は、それ以外の華やいだ言葉を信じて進んで欲しいものである。選手達の心の中に、見出しにふさわしい昏い感情が漂っているのでないことを願うのである。
以上
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