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2017年7月15日 (土)

今日の躓き石 毎日新聞の「人生」大安売り

                           2017/07/15
 今回の題材は、毎日新聞大阪朝刊第13版の2カ所である。

 お断りしておくが、今回指摘の二件だけが、当方の意識に突き刺さったのではない。たまたま、一日の始まりに読んでいた朝刊の、いたって気分よく読んでいた記事で、散歩道の路面から大石が飛び出していて躓くように、気勢をそがれるのが続いたせいであり、毎日新聞のこのような風潮は、以前から気づいていたものである。

 一件目は、「分析・解説」面で、読者の疑問に答える「なるほドリ」欄で、話題の藤井四段の段位に関するものである。それも、読者の質問ではなく、物知りの回答者の言葉として「棋士人生」と大層な言葉を持ち出したものである。

 やはり、「人生」は、こんな形で安売りして欲しくないものである。耳慣れない言葉であるし、「棋士人生」とは、何のことなのか、質問が出てきそうである。「棋士」とは、将棋棋士であることはわかるとして、いつから始まるものかというと、多分プロ四段になって始まるのだろうが、何とも、喉ごしの悪い、こなれの悪い言葉である。

 もう一つは、スポーツ面で、サッカーの本田選手の新たな所属先を報道する際に「プロ人生」と、別の意味を込めて大層な言葉を持ち出したものである。「プロ」とはサッカープロ選手のことらしいが、勝手に新語を造って、プロ全体に押しつけるとは、サッカー界は独善的だとにが゜にが強い思いをするのである。

 それにしても、今日の朝刊は、偶然の一致と言うより、全国紙としての悪弊になったのではないかと、懸念させられる、苦し紛れの「人生」大安売りである。
 身辺の事例では、「大安売り」は、閉店間際の値引きショーである。客の注意を引くのに手段を選ばないというわけでもないだろうが、全国紙の見識に影が差していなければ幸いである。

 どちらの場合も、棋士として、とか、「棋士歴」とか、プロとしての経歴、とか、普通の言葉で語れるのではないか。ここで、「**人生」などと、人生とっておきの言葉を無駄遣いしなくとも、報道できるのではないか。一部の世界でもてはやされている言葉遣いとしても、全国紙は、安易に迎合せず、人々の言葉遣いのお手本であって欲しいと思うのである。

 ここで、個人的な意見を付け足すと、藤井四段の特別な昇段に関する説明で、回答として書かれていてるほかに、いろいろ考え合わせることがあるように思う。
 スポーツの世界でも、似たような例はあり、大相撲の新入幕の力士が全勝優勝したとしても、いきなり大関には上がれないのである。全勝優勝しそうなときは、千秋楽近くに三役以上の力士と異例の顔合わせを設定するものだが、それにしても、十五勝の大半は、幕内下位との対戦であり、沢山の勝ち星を重ねても、当人の実力が十分証明されていないこともあって、いきなり大関とは行かないのである。

 藤井四段本人も、順位戦C級2組のとてつもなく厳しい競争を、正々堂々と勝ち抜いての昇級、昇段を望んでいるはずであり、連勝の功績は、連盟特別表彰で顕彰すれば良いのではないかと思うものである。棋士達にとって、順位戦でのC1組昇級、五段昇段が、実力の証明であり、プロ棋士として最初にして、おそらく最大の「通過点」と見ているはずである。陸上トラック競技のハードルのように、突き飛ばして通り過ぎられるものではなく、フィールド競技の高跳びのバーのように、何としても飛び越えねばならないものと思うのである。

 いや、以上の意見は、あくまで、事情をよく知らない素人の率直な意見であるが、大事な言葉を大安売りして欲しくないというのは、長年の愛読者の切実な意見である。別に、言うことに従えなどと言うつもりはない。一つの意見として、耳を傾けて欲しいだけである。

以上

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