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2017年9月16日 (土)

今日の躓き石 The companyの話 ミス・マープルシリーズ 字幕の誤訳

                                  2017/09/16
 今回の題材は、随分以前から出回っている名作ミステリーの字幕の誤訳の話である。

 アガサ・クリスティー原作のミス・マープルシリーズのジョーン・ヒクソン版パディントン発4時50分(4.50 from Paddington (1987))である。
 下にも書いたように、随分以前にNHKで初回放送された英国BBC制作の傑作ドラマである。近年制作されたリメーク版が霞んでしまう不朽の名作である。今回は、AXN ミステリーチャンネルから放送されている。NHKも、リメーク版同様に再放送して欲しいものである。

 さて、被害者女性の所属していたFrench Touring Companyが、字幕では「旅行会社」となっていたが、ここで言うTouring Companyは旅行者などではなく旅一座である。フランス国内を小屋がけ興行して回るロシア風のバレエ一座の踊り子という設定である。

 こうした旅芸人の一座を、英国語でCompanyと呼ぶのは、元々、旅興行のご一行様という意味であろう。いや、companyは、元々、一緒にいる人たちという意味なのである。

 余談であるが、世界に冠たるアメリカニューヨークのメトロポリタン歌劇場は、The Metropolitan Opera Companyと呼ばれていた(いまでもそうかな)が、やはり、年間に何度か国内各地を巡業していたようである。  

 更なる余談である。
 それにしても、最近、リマスター版としてシリーズ全体が再放送されているが、最初(大昔に)NHKで見たときに比べて、ずいぶん、色調が改善され、最近制作と言われて、ワイド画面でないのと字幕の文字が大きいので、リマスター版だと気づく程度である。原版のフィルムからやり直したのだろう、映画撮影と同等のフィルム使用、照明、衣装など、丁寧な演出が光っている。さすがに、BBS(英国国営放送)制作である。

 今回のリマスター版で感心したのは、カットされていた部分が復活している点である。
 ミス・マープの依頼で家政婦としてお屋敷に入り込んだ女性が、手始めに、台所のゴタゴタを大整理し、沢山の食器を洗って磨き上げて、戸棚に整然と並べるところ、そして、夜になって、滞在している男性の靴が廊下に出ているのを磨いて返しておくところが、少なくとも、字幕版ではカットされていたのである。
 この部分は、大変短いシーケンスであるが、家政婦の初仕事として大変な手間を尽くした翌朝、伸び伸びとゴルフの練習をしているから、なるほど、骨身を惜しまないという自称通りの家政婦だとして、一気に信用を得たのだと思うのであり、この部分がないと、(画面に出ないが、朝食をりっ゜ぱにこなしたものの、画面上では)いきなりゴルフ練習したことになり、ウソっぽくなるのである。
 大した物である。
 他にも、本作の各所には、味わい深い演出が施されていて、何度見ても、新発見がある。

 NHKの時間枠に合わせたのだろうが、省略したシーケンスで、実際の膨大な手間を推測させた演出の苦労はだいなしであった。

以上

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