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2017年10月23日 (月)

「今どきの歴史」 第二回を巡って 6/7

  私の見立て★★★☆☆  堅実な紹介                       2017/10/23

*単身移住の可能性

 もっとも、馬の成育と新天地への展開とは別に小数の先駆者が、本家たる北部九州から、直接、それこそ最東端のこの地に移住したとの推測は、一応可能だが、少なくとも、くの馬を、数世代分の移住先を飛び越えて移動させることは不可能というものだろう。推測、思い込みは、可能性の推測として扱うべきであり、確たる論説として育て上げる努力を欠かしてはならないのである。

*技術の担い手
 「技術」と簡単に言うが、この技術は担い手が一人歩きするものではないし、技術者が担って移動できるものでもない、馬と馬を育てる大地、即ち、牧草地が必要である。馬は連れて行けるが、無理なく連れて行ける範囲は限られる。牧草地は、誰かが偵察に行って、探すしかない。そして、馬飼は、多くのものが、手分けして、そして、ともに、途方もない力を尽くさなければならない。
 何か、安直な必勝法があって、それを読めば、だれでもできるものではない。


 以上、別に馬を飼い育てた経験はなく、まして、馬を引き連れて移動した経験もないから、全て、後世の素人の推量であるが、こうした着実な成り行きしか考えられないのである。

*地方社会の怪
 そこで、またまた、時代錯誤の言葉遣いが出て来るのだが、古墳時代の「地方社会」は、地平の彼方に中央政権が集権的なものとして存在し、当地域まで権威を、世紀を越えて持続して届かせていたという「仮定」、「古代ロマン」の「思い込み」に基づくようである。
 「思い込み」は、個人の勝手であるが、学説として論じるには、客観的に考証、論証された根拠が必要である。単発史料で、決め付けるのは、軽率極まりないのである。
 想像するに、当時の住民にとっては、ここが「我がくに」であり、よろい武者が「我がきみ」だったのではないか。たことも聞いたこともない、行ったという人もいないような無限の彼方のことなど、思いはしなかったであろう。いや、当地にまで権力を及ぼしていた「中央政権」は、存在しなかったと論じているのではない。存在したというなら、厳重に実証すべきだと行っているだけである。

*「未知の光景」の怪
 その後に「未知の光景」などと時間空間錯誤の「たわごと」があるが、担当記者の独りよがりの幻視は「勝手」にして、まじめな読者に、「勝手」な妄想を押しつけないで欲しいものである。
 担当記者は、「眼前の光景」に陶酔しているかも知れないが、その光景は、眼前と錯覚していても、 当人の脳内のものであって他人には一切見えないのである。他人に見えないものは、言葉で世界像を構築して提示するしかないのである。

                                                未完

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