今日の躓き石 寂しいラウンダー 体操王者の受難
2017/10/06
今回の題材は、毎日新聞夕刊大阪第三版のスポーツ面である。
既報のように、故障で王座から失墜した絶対王者の残した穴を、見事に銅メダルで埋めた偉業を称えるのは良いが、最後に、大きな穴に突き落とすのは趣味が悪い。
従来の「スペシャリスト」、つまり、種目別向けの専門的な演技から、苦手を積極的に克服する闘志と努力、そしてい、もちろん。卓越した技術に対して、つまらない「オールラウンダー」などと気味の悪いカタカナ語を貼り付けるのは、気の毒である。
言葉の成り立ちからして、「スペシャリスト」と対比されるのは「ジェネラリスト」である。分野によって、言葉の解釈は揺らぐものだから、呼び方として適切かどうかはわからないが、新聞としての品格からして、筋の通った言い方で、絶対王者に相応しい最高の言葉を選ぶべぎである。
どこかから、拾った来た趣旨不明のカタカナ語を無料で借用すべきではない。
ただし、アメリカのスポーツジャーナリズムが報道するのは、野球、バスケットボール、フットボール、アイスホッケーなどのように、攻防がはっきりしている対抗競技だから、攻防両方に優れた選手を、「オールラウンドプレーヤー」と呼ぶのであろう。せいぜい数種の分野なのに、勿体ぶってAllと呼ぶのでわかるように、派手に言い立てるだけの無駄口なのである。
それを、アメリカでも、できの悪いジャーナリストが間違った英語で"Allrounder"と形容しているのか、いないのか、そこまでは知らない。見えているのは、カタカナ語である。
それはそれとして、丁寧に「オールラウンドプレーヤー」と言ったとして、それが褒め言葉かどうか不明である。
ここで問われるのは、体操競技のように六種目にわたって、最高クラスの演技ができて、なおかつ、総合成績でトップに立つ偉大な選手を呼ぶべき言葉は何かと言うことである。
少なくとも、All mightyに近い讃辞が必要ではないか。
少なくとも、「オールラウンダー」は、もう止めたらどうだろうか。
言葉の護り人としての権威が求められる全国紙の紙面に、できの悪いカタカナ語は似合わない。例え、スポーツ面であろうと。
以上
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