今日の躓き石 毎日新聞サッカー報道の嘘 「メンタル」
2017/11/12
今回の題材は、毎日新聞大阪朝刊第12版のブラジル戦戦評である。
大見出しは、至って堅実に「日本 心技に課題」とまとめているが、中見出しは「本気ブラジルに挑みたかった」と意味不明である。掲げられた願望が裏切られたのか、実現したのか、両様に読めるのは、見出しとして不用意であるが、まあ、大したことではない。
問題は、監督談話として、選手の「メンタル」に満足していないと報道していることにある。前後にいろいろ書かれているが、それは、選手のコメントや記者の意見であるから、監督の一言に比べたら、意義は随分低いと見るものである。
監督は、カタカナ語まじりの日本語で話すはずはないので、協会通訳が無能なのか、記者の創作なのか、重大な誤報、フェイクニュースとしか言いようがない。
不適切なカタカナ語の害はつとに知られているが、一方で、こうして全国紙が害毒を広げていては、解消するはずがない。
元に戻って、なにが問題かというと、「メンタル」なるカタカナ語は、正統な英語の翻訳でなく、業界の勝手な言い方であり、一般人にはその意味が理解されないから、監督の意図が伝わらない、あるいは、誤解されるのである。これは、報道ではない。直後の報道でなく、推敲と校閲を経ているはずだから、一段と重症である。
記者が、監督に悪意をいだいて、カタカナコメントで、国民を馬鹿にしていると思わせているのかと疑わさせる。
もし、協会通訳が無能で、正確な日本語にできていないのだとしたら、報道を担当するものとして、不適切な言葉遣いを指摘すべきである。
ということで、依然として、スポーツ界の一部に染みついている子供じみた言葉遣いと報道人のそれに対する同調が痛々しいのである。
ところで、監督は、選手が[いじけている]と感じたのか、[相手を馬鹿にしている]と感じたのか、[考えなしに動いている]というのか、なにを問題視しているのか、一向にわからない。報道として大事なのは、そこを適確に読者に伝えることではないのだろうか。
通訳を介してしか意志を伝えられないのだから、監督は、言いっぱなしでなく、通訳の言葉遣いを正す責任があるのではないか。厚遇されている代表監督だから、そこまで思うのである。これは、失言ではないが、失態であると思う。
以上
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