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2017年12月18日 (月)

私の本棚 季刊「邪馬台国」 131号 私の古代史論 1/6

塩田泰弘 魏志が辿った邪馬台国への径と国々

        私の見立て★★★★☆      2017/12/18

*はじめに
 本誌の本号は、諸氏の懸賞応募論文が掲載されていて、本来、もっと早く批評すべきだったのだが、敢闘賞論文が、毎ページ炎上という希有な題材だったので、批判、是正策提言で、膨大な労力を費やし、しばらく同誌同号を見る気がしなくなったものである。遅くなって申し訳ないが、漸く押し入れから本誌を取り出し、できるだけ公平に批判する努めに戻りたい。

*讃辞
 本論文の著者は、在野の論客として比較的著名であり、当誌の権威ある優秀賞論文であり、大きな陥穽は無いとして安心して、先ずは読んだのである。
 期待に違わず、全般に堅実な論考であり、当方が突っ込みを入れる程度の事項はご承知と思うのだが、逆に遠慮せずに、無い物ねだりできるのである。

*見落とされた序奏 
 本論文の目的が、諸説の異同を確認して、正解を見出そうとするものであるとすると、冒頭の①から⑩の箇条書き項目は、既に、原文から出発した考察と言うには、かなり重要な選択肢をふるい落としているが、その点についての注釈はない。

 例えば、①では、「韓国を歴る」という内陸行程の可能性が、断りなく消えている。いや、言及はされているのだが、検討から除外する力はないと感じる。

*見落とされた放射行程説
 後出するように、伊都国以降の道里検討では、榎一雄氏が提唱した伊都国中心の放射状行程道里記事であるという選択肢が消えている。
 また、榎氏の見解では、魏の使節は、伊都国から先の諸国には、女王国を含めて実際に行ってはいないという「魏使不達説」であるから、本論文は、タイトルからしてこの選択肢を評価する手順を逸している。
 折角の慎重な論考が、出発点を誤っているように見えるのである。
 当論文の失敗と思われる第一の点である。

未完

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