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2017年12月18日 (月)

私の本棚 季刊「邪馬台国」 131号 私の古代史論 6/6

 塩田泰弘 魏志が辿った邪馬台国への径と国々

         私の見立て★★★★☆      2017/12/18

*通じない指示
 倭国内には、中国の刺史のごとく、言葉が通じ、文字があり、読み書き計算できる巡回指導者を派遣し、情報収集、報告と経営指導に当てたが、文書行政ではないので、伝令で数字を要求しても、数字の概念の欠けている相手には、伝わらないのである。

*提出資料の不足
 実際、魏使に求められたのは、帯方郡から女王国への道里

と所要日数、そして、戸口であるが、戸籍未整備だから、戸数は不正確、口数は欠けている。
 本来、道里

上にない諸国への里数、所要日数は要らないはずである。

*部分総和と総計の不一致

 おおざっぱ極まりない数値の足し算では、桁の少ない、小さい数は、少々足しこんでも総計に現れない。人によっては、部分総和と総計の不一致を重欠点視するから、時に、些細な部分数値を消して照合できなくするのである。(伊都国・女王国道里など)

*榎一雄氏所説の復興に期待
 と言うことで、懸案とした榎一雄氏の放射道里説と魏使王都不達説であるが、本論著者ほどの見識の人が、紹介・短評を漏らすのはもったいない。

*また一つの異説

 女王国戸数七万餘戸も、著者ほどの見識の人にしては、軽率な予断に過ぎると思うが、ここでは論じない。
 それぞれ些細なようだが、それぞれの選択肢を採用すれば、ここに例示されている諸氏の議論が根拠を失うので、公正の見地から言及を避けるべきではないと思うのである。(古田武彦氏の韓国内陸行提言は言及されている)

*最後に

 とかく、感情的な保身・排他の強弁が横行する世界で、本論著者は、冷静な視点を保っているようなので、今一息の考え直しを期待するものである。

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