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2017年12月26日 (火)

私の本棚 史話 日本の古代 二 その1 気候変動からみた「邪馬臺国」

 謎に包まれた邪馬台国 直木孝次郎編

              私の見立て★★★☆☆       2017/12/26

 本書は、諸氏の論文集であり、冒頭に編者の巻頭言が付されている。
 近来見かける無秩序・無編集の闇鍋ではないが、かといって、編者が論文内容に干渉したものでもない。あくまで、当分野で参照に値するとみたレベルの高い論文集となっている。

 巻頭言は、固定した「定説」にとらわれたものではなく、考古学分野を主に紹介を進め、古代史で論理の要で選択肢となるべき異説も取り上げられていて、東方が編者に深い敬意を表する由縁である。

卑弥呼「以て死す」   岡本健一

 初出 邪馬台国論争 講談社1995年

 私の見立て ☆☆☆☆☆☆ 迷走の極み

 本書は、既に書評しているが、ここに抜粋された論考は、著者の「私見」に沿って文献解釈が曲げられていて、本書が暗黙の内に標榜している諸論概観の趣旨を曲げている。

 と言うことで、書評として蒸し返しはしない。

気候変動からみた「邪馬臺国」 山本武夫

 初出 「史話 日本の歴史 第二巻 謎の女王卑弥呼」 作品社 1991.4 
 私の見立て ★★★☆☆ 本論は堅実、余談は暴走

 本論考に関して感じるのは、著者の専攻である自然科学気候学については、豊富なデータを元にした健全、かつ賢明な思考が感じ取れるのだが、論考に利用している専攻外の事項で、浅慮の曲解や不用意な受け売りが目立つのである。

 もっと良い友達を持っていれば良かったのにと思わざるを得ない。もったいない話である。

 「⑴義経とナポレオンと」のように明らかに本筋を外し、勝手な妄想を吐露している議論はともかく「⑵小氷期と農耕社会」も語られているのは、18,19世紀の気候と社会変動の関連であって、全20ページの論考の前半10ページが、三世紀古代史と直接関係のない議論で埋まっているのは何とも困ったものである。引用元も、同様に3世紀の史話集であるから、著者の感覚が、的を外れているのだろう。何とも、もったいない話である。

 と言って10ページの硬い枕の後、漸く開幕する、⑶で本題に迫った後も、時に敬服し、時に呆れる大波の乱調なのである。

                     未完

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