今日の躓き石 万能選手を褒めない「オールラウンダー」共同―毎日
2017/12/03
今回の題材は、毎日新聞大阪朝刊第13版スポーツ面のスピードスケートワールドカップ報道である。見出しは、「万能」と絶賛であるが、新聞報道だからこんなものであろう。
気になったのは、共同通信配信の戦評である。
いや、素人並のつたない書き方の記事が多い毎日新聞スポーツ記事の書きっぷりに比べて、共同通信社の配信記事は、豊富な知識をもとに、丁寧な取材を進めたことが感じ取れるものが多くて、感心しているのだが、今回は、一失があったようである。
中長距離三種目で勝って見せた選手に対して、「オールラウンダー」とは、何ともお粗末で、これでは、毎日新聞記者の言葉遣いと代わらないのである。
丁寧に言うと、「オールラウンダー」というカタカナ語は、このような場に出てきてはならない愚劣なものである。
第一に、無教養な文法外れの造語であり、このような、いうならば「きたない」ことばを浴びせられる選手は、気の毒である。
第二に、一度「万能」と絶賛したのに、この言葉は、上に挙げたようにきたない言葉であるから、単に「器用なだけの何でも屋」という揶揄に受け取られかねないのである。
まして、スピードスケートで距離が違うのは、選手にとって大変なことだとは思うが、読者にとっては、どちらも、滑る速さを競うものであって、例えば、野球で二刀流と呼ぶような驚きを伴わないのである。
おそらく、この言葉は、文法お構いなしの米国低級ジャーナリストの造語てあろうが、スピードスケートの距離の違いの重みを感じさせるような丁寧な言葉づかいとは思えない。
だから、今回は、共同通信配信記事にしては、随分お粗末だなと思うのである。
毎日新聞社は、記事における言葉の品格には、全く関心がないようだから、この記事を悪いお手本にされないようにご注意頂きたいものである。
以上
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