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2018年1月 8日 (月)

倭人伝の散歩道 海上交易と渡し舟 2/4

                                                   2018/01/08
*人材投入
 買付部隊の責任者は、読み書き算術ができて、武勇に優れ、価格交渉できる人材でなければ務まらない。政権幹部が長期出張となりかねないのである。

*地の利
 これに対して、九州北部の地元商人は、日頃、海峡交易しているから、ものの相場を知っていて、対価として割の良いものを持っていくはずである。これは、日常業務だから、担当者に、適度の権限と資金を与えて派遣すれば良いのである。船舶や乗員は新たに整える必要はない。往復は短期間であり、買付担当者の動静は把握できる。その際、危険相当分を売価に乗せるから、保険がかかっているのである。

*買付地の引き寄せ
 中和纏向商人の九州北部での買付価格は現地価格より高価であるが、自前で買付船を仕立てるのに比べて、妥当なものと見ざるを得ないのではないか。

*自前取り寄せの負担
 九州北部から中和纏向まで、どのような経路をとるにしろ、自前の移動である。大分緩和されているが、自前で大変な危険を背負い込まねばならない。

*近隣買付の得
 これを、淀川水運の終着点、木津の市で買い付けるとしたら、買付価格自体は高くなるが、経路に、なら山越えの軽微なもの以外に難関はなく、纏向から数日の近場であるから、諸々の負担は極めて軽微であり、纏向地域政権のとるべき策は自明だろう。

*遠隔交易の戒め
 同様に考えれば、吉備や丹波から遠路韓国に向かう貿易船団も、時代錯誤の幻想である。

*長期構想
 創業と発展と考えると、先ずは、短距離で短期間の小規模貿易で創業し、これを長距離まで発展させるらには、それこそ移動距離の二乗に比例しそうな経済的、文化的成長が必要ある。所詮、商売して多額の利益を得るには、売り先が大量に必要なのである。壮大な遠距離買付が成り立たないなら、同様に壮大な遠距離販売もなり立たないのである。

 もちろん、大規模交易には、読み書き算術のできるものが多数必要なのである。

                                   未完

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