今日の躓き石 毎日新聞に良心なし 「リベンジ」横行の醜態
2018/03/05
今回の題材は、毎日新聞大阪朝刊第13版スポーツ面右上、つまり、面トップの見出しである。
人名に続いて「リベンジ」とだけあるが、第一に、この見出しだけでは、大抵の読者は、誰が何をしたのか、皆目わからない。
続いて、縦見出しに「脱皮」とあるが、何のことかわからない以上、これでは、何の競技の誰がどんな古着を脱ぎ捨てたか、皆目わからない。
人名を出された(競技名を伏せた)「無名」の選手が、何の競技の何者なのかわからない見出し付けは、担当記者の不出来というか了見違いだが、それが、でかでかとまかり通るところに、全国紙の編集体制に不審を抱くのである。
そして、これまで当ブログで力説しているように、「リベンジ」は、とてつもなく邪悪な言葉であり、全国誌の紙面に堂々と登場すべきでないと信じるものである。
一つには、リベンジの普通の理解は、「復讐」、「血の報復」、「天誅」であり、報復が報復を呼ぶ、中東由来のテロの正当化に通じるものである。せいぜいが、単に競技で後れを取ったことを、「負けた」ととり、「屈辱」、つまり「汚名」をすすぐとした、前世紀の遺物、大げさな「雪辱」である。
二つには、近来出回っている「再チャレンジ」の意味であるが、あくまで、一部で出回っているだけで、第一の意味の影に隠れていて、入り交じっているため、大抵の読者は、一読して意味を理解できず、文脈を読み取らないと、どちらの意味かわからないのである。
今回の記事も、よくよく見ると、第一人者に負けた屈辱を晴らしたことのようだから、第一の意味なのだろうが、それにしても、スポーツの世界で、競い合って後れを取る度に、逆恨みして仕返しを企んでいては、選手の本分を妨げるのではないかと思う。別の競技の一部の選手が、そのような発言を報道されているが、読者によっては、そのような選手の気質を野蛮と捉えて、背を向けることも考えられる。
それにしても、何故、誰にも通じる「普通」の言い方をしないのか、大いに疑問である。
つまり、目立ちたがりの担当記者が大声で、大見出しで「リベンジ」と叩きつけても、読者にその意味が通じないのだから、それは、報道の基本の基本を怠った無頼の行いである。
全国紙には、編集部門に何段階ものチェック機能があり、また、校閲部門があるはずだが、機能していないのか、休眠しているのか、かくのごとき蛮行が世に出ている。全国紙の権威も何もあったものではない。
一介の定期購読者としては、この記事を切り取って返品するわけにも行かず、当ブログの影響力は無に等しいるから、ひっそりと不平を漏らすしかできないのである。
どうか、未来を担う若者たちから、この悪質な言葉が消え失せて欲しいものである。全国紙は、そうした良心を保っていると思いたいのだが、どうだろうか。
以上
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