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2018年5月31日 (木)

今日の躓き石 毎日新聞 スポーツ報道の解決されない課題

                           2018/05/31
 今日の題材は、毎日新聞大阪第13版のスポーツ面、サッカー報道である。と言っても、誤報などを問うものではない。単に、意見の相違である。
 
 毎日新聞のスポーツ面報道、特に、担当記者の意見を書き立てる部分は、記者の心の動揺が沸き立っていて、報道の役をなしていないように思われる。全国紙の紙面は、高い品格と見識を求められる。広く読者に読まれ、世論形成に影響するので、責任は重大なのである。当ブログ記事は、当然、受けるべき批判なのである。
 
*フィジカル 変わらぬ課題
 この囲み記事は、良い例である。サッカー界に蠢いている意味不定の言霊「フィジカル」を、見出しに押し立てたのに反省したか、「強さ、高さ、スピードといった外国勢との身体的な差」を言い立てている。記者が、「フィジカル」をこの意味で言い立てているとしたら、それはそれで、一つの見識と言うべきだが、チームプレーであるサッカー(フットボール)の多様な「勝つ」要件を、大変狭い、しかも、(少なくとも、数か月では)達成不可能な特質に求めていることになる。
 
*永遠の課題
 さて、およそ課題は、解決可能なものと解決不可能なものがある。永遠の課題などと、不朽の生命を保つ課題は、別に珍しくない。
 
 今回挙げている課題は、選手個々の身体特性をあげつらっているものであり、個人としての解決はほぼ不可能であるから、チームとしては、身体検査でもして、特性の不足している者と特性を満たしている者とを入れ替えるしか無いのである。
 
*「適者生存」と「進化」の真意
 生物学的には、そのような入れ替え、不適格者の排除を「適者生存」と呼び、入れ替えでチームの特性が発展することを「進化」と呼ぶのである。

 担当記者は、身体特性による選手入れ替えを、強硬に主張しているようである。

*出ないチーム
 続いて、相手チームはW杯に出場しない、と不思議な表現で次段が開始しているが、別に、出場を拒否、辞退したわけで無く、予選で敗退しただけである。要は、出場した競争相手より弱かったのである。しかも、今回来たチームは、生きの良い、意欲旺盛な若手であったとしている。何を言おうとしているのか不明である。
 
 段末では、守備が不出来では、3バック、守備時は5バックと守りを固めても、W杯で最終ラインを突破されるという。頼もしい提言である。

 いや、サッカーの試合は、瞬間瞬間の展開が重要であり、どんな守備陣形をとり、どんなに巧妙に守っても、攻撃を止められないことがあるのは、衆知である。守備陣形の不備を言いたいのか、選手の特性を言いたいのか、何を言いたいのだろうか。
 
*失われた「デュエル」
 確か、前監督は、サッカーは、結局一対一の競り合い(デュエル)である、と言っていたように記憶している。意訳すると、身体がでかいとか、筋力が強いとかいろいろ聞いた風なことを言うが、結局は、ボールを争って自分の望む方向に出せたら勝ちだと解して、至言だと感心したものである。別に相手をぶっ倒せと言ったのではないはずである。 
 素人は、自分は相手に吹っ飛ばされても、ボール争いで勝て、という趣旨に解したのである。記者は、どう解したのだろうか。
 
*呪縛の世界
 続いて、不思議な意見が出て来る。
 
 趣旨として、前監督が「呪縛」をかけていたときはボールが動かなかったが、今や、よく動くようになったという。
 ただし、得点チャンスは作れなかったと歎いている。つまり、記者の言う、ボールがよく動くというのは、ほぼ横方向のバス交換で「ポゼッション」が長く維持できたことのようだが、一向に前に出さず、ゴール前に出せなかったということであり、とろとろボール回しするなとは、前監督が固く戒めていたのでは無いか。相手が身構える前に、さっさと攻め上がれと言われていたのではないか。
 それにしても、「呪縛」とは、まことに低俗な言い回しである。この全国紙は、「呪縛信仰」の会社なのか。
 
*承知のリスク
 記者がかしこそうに言う「ミスからカウンターに遭う危険性」など、選手全てが固く警戒しているのであって、頭の片隅などでは無いのであろう。でなければ、代表に選ばれるものではない。危険は承知で切り込んでいくから点が取れるのである。むしろ、自陣でボール回しするときの方が、「ミスから失点する危険性」が、格段に高いのである。
 
*弱者の謀略の強要
 最後、一転して、守備固めして、「カウンター」一発で勝つ戦法が説かれる。弱者の狡猾な戦法であり、代表選手が、忌み嫌う戦術である。
 
 このように、断片が継ぎ接ぎされていて、全体として、意味不明な記事なのである。
 
*賢人の戦評
 因みに、紙面で、名選手であり、指導者としても高名なジーコの戦評が報道されている。
 
 試合で日本チームが多用した、時間を十分にかけたサイド突破から、高いセンタリングをゴール前に放り込む作戦について、相手が、とっくに予想して体制を整えている上に、相手の守備陣の方が背が高いのでは、成算は無いに等しいと喝破している。
 
*記事の価値はどこに
 担当記者が、南米を中心に世界トップの選手として長年活躍した後、元Jリーグプレーヤーとなり、元代表監督にもなったジーコより、適確な戦評を提供できるとは、もともと思わないが、これだけの紙面を与えられたのに、ちゃんと筋道を通して書けないというのは、メンタルの不備と思うのである。
 
 まして、通り一遍の講釈の後、定評のある愚策しか出せないのでは、紙面の無駄使いである。もっとも、代表監督は、愚将として解任されても、担当記者は、何を書いても批判されず、解任されないので、安泰ということか。
 正直言って、全国紙の紙面で、素人視点の技術評や戦術評は、商品価値がないのではないか。

以上

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