私の本棚 季刊「邪馬台国」 134号 物部氏と尾張氏の系譜(5) 3/4
2018/06/29
*意図不明の参照
③大化の改新で守屋の系譜が復活
素人考えでも、物部守屋の駆逐が「革命」、つまり、新来勢力による既存勢力の打倒とすると、当然、反革命が起こる。つまり、旧勢力の復権である。
あるいは、このような抗争の際の常套手段として、物部氏の下位層に、革命に協力すれば、物部氏の頭領の地位を保証すると持ちかけたのかもしれない。旧事紀を参照するまでもなく、全国に物部氏の分家が多数展開しているから、これら全てを敵に回すことなどできなかったに違いないのである。
総じて、筆者は、既存論者の単純な思考形態にとらわれていて、先人の論考を踏み越えて前進する気概に欠けているものと思われる。
*見出し冗長の弊害
④古代の大事件の中での物部氏と尾張氏のポジション
小見出しが冗長なのは、筆者の不手際である。
「ポジション」と意味不明なカタカナ語で締めるのは拙劣である。
*戦国世相
書き出しの戦国時代や江戸時代の例示は、時代錯誤であるし、著者による総括は、認識不足であり、不適当であると思う。
例えば、一つの見方として、織田信長の武装仏教勢力攻撃は、「天下布武」、つまり、武士秩序による全国制覇を目指した政権闘争と見ることができる。
信長の不退転の戦いは、新興宗教を奉じたものではないし、天皇制を奉じたものでもないと思うのである。いずれにしろ、意味不明な宗教戦争と呼ぶのは、見当違いである。
一方、江戸時代初期のキリスト教信者による挙兵は、一つの見方として、法王の名に従いイスパニアがフィリピン等で展開した民族浄化策の日本への導入の端緒であったかも知れない。もちろん、そうでなかったかも知れない。
少なくとも、法王と法王を押し立てたイベリア半島諸国の世界制覇の意図は、「東アジア」に於いては、罰当たりな偶像崇拝の仏教勢力との対決による純然たる布教だけではなかったはずである。
*粗雑な受け売りの害
筆者は、以下の展開の枕として、本分ではない時代例を取り込んだのかも知れないが、こうした受け売りは、得てして粗雑であり、読者の反発を招くのである。
ちなみに、古代史学分野で近来見かける「宗教戦争」は、法王庁にも似て、強大な既得権を擁し、従ってこの上もなく頑迷な「畿内説」勢力と在野勢力の論議なき「論争」を諷したもののようである。
当ブログ筆者は、取るに足らない一私人であるから、どちらかに加担しても、しなくても、別段何という事もないのだが、密かに、と言うかここに公言しているのだから、丸見えなのだが、人知れぬ私見として、中々蘊蓄に富んだ表現と見るのである。
*乱れた言葉
⑤フィールドワークするほどに存在感は増す
この小見出しは、まっとうな日本語ではない。
書き出しがカタカナ語というのもあるが、全体としていわゆるブロークン、壊れた言葉遣いである。感心しないことおびただしい。
未完
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