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2018年11月29日 (木)

資料批判 諸蕃職貢圖巻 「斯羅國」題記 清 張庚による模本 1-2

                           2018/11/29
 *掲題文献の文字部分を収録し、新発見の新羅記事を初めて公開したとされているが、誤報、捏造、妄言の類いである。

*史料引用(誤写ご免)
 「愛日吟廬書畫續錄」  (清)葛嗣浵撰
  紙本 高九寸三分 長一丈四尺三寸四分
  白描法鉤而不染一国畫一人人約六七寸長毎人各載一記統計一十八種
    1.渇槃陀    2.武興蕃    3.高昌國       4.天門蠻       5.滑者
    6.波斯國    7.百濟國    8.龜茲國       9.倭國      10.高句驪
 11.于闐   12.斯羅國 13.周古柯國 14.呵跋檀者滑 15.胡蜜檀國
 16.宕昌國 17.鄧至國 18.白題國

題記 斯羅國 (注 魏志韓伝では、辰韓斯盧国であるが、ここでは史料に従う)
  斯羅國本東夷辰韓之小國也魏時曰新羅宋時曰斯羅
  其實一也或屬韓或屬倭国王不能自通使聘普通二年
  其王姓募名泰始使随百濟奉表獻方物其國有城號曰
  建年其俗與高麗相類無文字刻木為範言語待百濟而
  後通焉

*大意
 斯羅國は、当初東夷辰韓の一小国であったと言う、魏の時は新羅と言い辰韓に属し、宋の時は斯羅と言い倭に属した。同じ国であるが、それぞれ大国に属していたため、自分で中国に遣使できなかった、と言う。
 梁の普通二年、斯羅国王募泰が、百済使節に従い梁に遣使し、上表すると共に方物を貢献した。
其の国には建年と号する城市があり、其の俗は、高麗に似ているという。文字はなく、木に刻みを入れて伝えるという。言語は、百済通詞を要した。以後通じた。

*解説
 当文献は、史料としては、通常言う史料文献ではないゴミに過ぎない。

 内容を見ると、辰韓斯羅國(斯盧国)が辰韓統一で新羅国となった史実を取り違えている。魏志韓伝には斯盧国が明記されているのである。そもそも、新羅が、斯羅國と自称するはずはない。(記事の魏は、戦国魏にリンク)

 出典は不明だが、全くの造作と思えないので、新羅使節上表文を写した程と見られる。但し、新羅に文字も言葉もなく、中文が書けないので、百済が代筆ないしは検閲した表に、国王が御璽を押印したのであろう。

 題記は、南朝梁都建康に十八国夷蛮使節が来貢したときの姿を描いたとされる「諸蕃職貢圖巻」肖像画の一記事である。梁代原典は失われ、模本、複製品または復原品を残すだけである。また、十八国のうち、新羅使節の絵姿は失われ、題記が写し取られて残存したとも見える。

 無論正しい題記は「新羅國」であり、模本作成、または、題記書写で誤記されたのであろう。原典臨書して取り違いするとは思われず、失われた題記の考証復原の手違いであろうが、いかにも粗雑である。これほど明白な誤記が訂正されなかったということは、内容校正が無かったということである。校正されていない史料は、信用できない。

 つまり、題記記事は、史料価値の全くないものである。
                             未完

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