新・私の本棚 齋藤茂樹 技術と交通インフラを軸に古代史を再考する! 3-4
2018/12/09 2019/01/29
私の見方 ★★★★☆ (必読級)
*蟻の峠越え
私見では、大層な陸運などいらないのです。船荷を小分けして、背負子で丘越えすれば、荒海に耐える貴重な船体を無傷で次の旅に出せるし、人夫に大勢の屈強な者達を呼び集めることも要らないのです。
著者はしきりに、一人何㌕運べるとか、現代視点で書いていますが、古代の辺境の貧乏人が、どれほどの体力を有していたか、当方は、何の資料もないので計算にお付き合いはしません。無理は無理というのです。
背負い運びの常識で、一人で背負えない荷は、二人、三人で分け、とにかく、日帰り行程に小分けしていけば、全体として重荷を運ぶことができます。軽量であれば、今日まで良くあったように女性が運びます。
どのみち、一個で重大な荷は、船腹の積み卸しができないので別儀であり、船荷は一人分相当に小分けしたのです。
*峠越え商売
あり得る姿は、到着海港での荷渡しであり、山向こうの買い手が、引き取り人夫をよこしていたのです。中流まで小舟で漕ぎ上って引き揚げ、中流で荷下ろしして一旦休憩し、翌日、背負子で峠まで背負い登ったでしょう。峠では、山向こうの背負い手と荷を交換して引き返し、こちら側の海市まで荷を担ぎ下ろしたでしょう。これで、無理なく荷運びが続くのです。
こうした小刻みの荷運びは貧弱な里人でも維持可能だし、小遣いどころではない稼ぎになったと思われます。勤勉、不屈の働き蟻の姿ですが、土地がらによっては、近年まで担ぎ屋さんがいた(今もいる)のです。
しかし、著者は、大河の如き堂々たる水陸運を構想しているので、そのような、みみっちい、春の小川の営みに目もくれないのでしょう。氏の構想を支えるのが、「海路」氏の暴論では私見が食い違っても致し方ないのです。
*孤説の異説
著者は、表紙に「通説・異説」に組みしないと力説していますが、力説しているのは姿見の前であり、著者の所説自身が孤説、異説である以上、目前の最悪の敵は、自身の反映であることを忘れているように見えます。
*出荷品質向上
以上、商用出版として不首尾な著作を世に出さないためには、是非、「イエスマン」でなく、旦那芸を無遠慮、誠実に批判してくれる読者の意見を求めるべきです。
*工科脳の実現性視点
当方は、実現性を重んじる工科脳を基礎にしているので、超絶技巧を追求する理系脳と、反りが合わない点があるのは、避けられないのです。
未完
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