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2018年12月10日 (月)

今日の躓き石 毎日新聞「この一年」[文化財]の怪記事は捏造か

                          2018/12/10
 本日の題材は、毎日新聞夕刊文化面の「この一年」[文化財]の回顧記事である。
 
 麗々しく文化財というものの、冒頭記事は、「文化」の「文」がどこにも見つからない発掘遺物である遺跡の桃の種の年代鑑定の与太話であり、毎日新聞の品位を疑わせるものである。
 
 どうして与太話かというと、「分析結果が出たことが、5月に明らかになった」と風評として書いているからである。分析の主体、担当機関が書かれていない上に、どのようにして毎日新聞に対して「明らかになった」のか、書かれていないというのは、本来、ニュースとして取り上げるべきでない風評、与太話を書いているように見えるのである。そして、大事なことは、結果として注目を集めたと言うだけで、学術的な評価がなされていないということである。
 
 因みに、次段の古墳調査は、「宮内庁と堺市」が共同で発掘調査し、「11月下旬に報道陣と研究者に公開した」と明記されていて、容易に検証可能である。俗に「裏を取る」ことによって、一般人である読者も報道の真否を検証できることになる。
 
 これに引き換え、纏向桃の種事件報道は、ニュースソースが秘匿されていて、まさか、虚報、捏造や不正情報ではないだろうが、不審そのものである。同一人が、同一コラムに書いたとは思えない派手な食い違いである。
 
 また、引用された鑑定結果が、135-230年という範囲を明記しているらしいのを受けて、⑴これが卑弥呼の活動時期と重なる、と断定して、従って、⑵当時の女王国は、桃の種の出土したとされる纏向にあった、と強弁しているのだが、それぞれ、憶測であり、それを強弁するのはうさん臭いのである。
 
 ⑴ 鑑定結果に幅があるのは、要は、科学的に、範囲を持たせざるを得ないことを示しているのであるから、書かれている95年の範囲には、同等の重みがあるのであり、遺跡が、三世紀前半か、四世紀以降となるかの議論のいずれにも組みしないと見るべきである。陰の声が言う、科学的に「何の意味もない」とする至言は、その主旨と思う。ずばり、科学的に的を射ていると思う。 
  それを担当記者が勝手に読み替えて、三世紀前半説が裏付けされたとする報道は、まことにうさん臭いのである。(偏向、曲筆と言いたくなるほど、曲がっている.)
 
 ⑵纏向遺跡の遺構が三世紀前半に存在したとしても、その遺跡の主催者が、当時の日本列島(西部)を統一支配としていたとする根拠はない。時代感覚をしゃにむに曲げてでも、この点を結びつけようとする書きぶりはまことにうさん臭いのである。
 
 お手盛りの「古代史最大の謎」が、単に「邪馬台国の所在地」だけであり、毎日新聞がその「謎」に関して、独自の秘密取材で独自のニュース、つまり特ダネを得た、世間の注目を集めたと狂喜乱舞するのは、新聞社の社是として、前前世紀の骨董品であり、報道の本質を離れた過去の遺物ではないか。
 
 折角の自画自賛であるが、素人目にも、曲がった記事なので、指摘させて頂くのである。毎日新聞には、学会のガラス窓に投石する以外の端正な対応が望ましいのである。
 
以上

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