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2019年1月23日 (水)

新・私の本棚 番外 毎日新聞「今どきの歴史」 古代史談義の曲芸 2/2

 私の見立て★★★★☆ 必読             2019/01/23 2021/12/22

*担当記者批判(承前)
 記者の悪乗りは、どこまで続く抜かる溝、と言う感じです。
遺跡は大型建物や運河のような大規模な水路をもち、九州から関東まで各地の土器が多数出土した。

 遺跡の原状想定としても、「遺跡が建物や水路をもつ」とは、破格文法で戯画的であり、読者を子供扱いしています。

 
水道、水路と評しても、どこかからどこかに「水の路」をつなぐには、涸れない水源と極めて緩やかな一定傾斜が必要です。そのため、傾斜の大きい土地の運河には水門が必要です。それにしても、動力のない水門は、無意味です。傾斜のある運河の保水力は限りがあり、忽ち、枯渇するでしょう。どこでイリュージョンに、脳を冒されたのか知りませんが、一度冷静に質疑応答してほしいものです。そして、そんな厖大な土木工事がどんな経済効果を生むのかと。

 大づかみな決めつけは、
運河を見ていない素人には通用するかも知れませんが、「でかい水壕は、運河」と言うと言う単純なこじつけは、実際に生きている運河を見たことのない読者にしか通用しないのです。

 桃種は三千個で多数と書いておいて、土器の「多数」は何千個なのか、その場その場で大きく意味が変わる不明確な用語表現にもたれているのは、いかにも稚拙で意味不明です。

最初の大型前方後円墳である箸墓(はしはか)もあり、ここが全国に分布する前方後円墳の核心部であることも間違いない。初期王権の王都とみる議論に説得力がある。

 纏向が「最初」と決めつけつつ、それが全国の「前方後円墳の核心部」とは乱れています。全国普及の中心部といえば、「間違いない」の自己満足を突かれないはずです。ただし、古代史論、特に、「全国」と呼べる国のかたちがあったかどうか議論している中では、不用意というよりお粗末でしょう。それとも、古墳分布が「全国」の広がりを示していると主張しているのでしょうか。堂々めぐりに見えます。

 締めの「初期王権の王都とみる議論に説得力がある」は、主語抜き不体裁、自己満足の極みです。

 「初期王権」の「初期」の年代は不明で、「王権」も正体不明です。纏向マニアの酒席での褒め合いならともかく、符牒紛いの戯語連鎖は全国紙に相応しいものではないのです。
 「議論」に説得力とは無体で、議論で説得力があるのは「主張」でしょう。
 
*付言
 本来、諸論混交の古代史論議で、倉本氏の論考紹介の前説は、記者の史観の浅薄さを訴えるものであって、紙面を汚すと思えます。毎日新聞の信用を損なうだけです。
 因みに、当ブログの「書評」は、ブログ筆者の私見の踏み台として諸兄の論考を引き合いにしますが、全国紙記者が、素人同様の愚行に耽っているのは、もったいないのです。
 
 また、以上の論議で、勝手に「纏向マニア」と揶揄しているのは、私見で失礼ながら、その主張が、考古学に自陣営の嗜好を持ち込んで、学説ならぬ持論の強弁に耽っているさまは、「マニア」と分類されるとみているからです。この私見は、論証できないものなので、私見にとどまりますが、当ブログの表明しているように、素人考えを権威のない私人の意見として述べるのは、個人の自由と考えているものです。

*本論~倉本氏の卓見

 端的に言うと、ここに引用と紹介を得ている倉本氏の意見は、当方の持論でもあります。誰が考えても、三世紀初に中央権力が確立して、飛鳥時代は飛ばして平城京に律令国家が君臨するまでに五世紀を要する理由が見当たらないのです。
 氏の卓見は、「九州説」と戯画化できない至言です。

 氏の纏向マニア批判は、前説の論議を悉く覆しますが、これに対して、担当記者は、引用紹介だけで反論を試みないのは不思議です。

*大人の対応
 これは、氏が、三世紀全国政権を論理的に否定したものの、纏向政権が(同時代の)中心勢力であったと、一転して「畿内説」の面目を保って毒消ししている為か。氏は、続いて、「勢力」の影響力を緩めに見て、自説の沽券を保っていますが、これは大人の対応と言うべきでしょうか。いくら地域政権であろうと、同時代の「地域」の核心であるから、ある意味「世界の中心で」大将だったと言えるはずです。

 記者生命がかかっていて、曲芸筆法としたかも知れませんが、畿内説が政治的に利用されやすいとの発言は、掲載紙に対して意味深長です。 

 畿内説は、政治的な支援により、多額の資金を運用していることで、生命を維持していると見えます。

                               以上

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