新・私の本棚 番外 歴博展示物「後漢書東夷伝」竹簡巻物復元複製の快挙
2019/04/22
今回の題材は、どちらかと言えば些細なものなのだが、たまたまネット上で参観した歴博(大学共同利用機関法人人間文化研究機構 国立歴史民俗博物館)の総合展示第1展示室「先史・古代」のリニューアル展示物で、後漢書東夷伝の「復元複製」の「竹簡巻物」(レプリカ)には、大変驚いた。大変素晴らしい成果である。3/19公開となったようであるが、今日まで気がつかなかった。
記憶にも、ネット検索にも、後漢書東夷伝の「竹簡巻物」が出土したとの記録が見当たらないが、いつ出土したのかはどうでもいいが、出土遺物を原型復元して、複製(レプリカ)を作成したのは偉業と言える。その過程で、遺物の文字読み取りに技術をつくしたと思うから、できたら遺物そのものと合わせて、復元文字を拝見したいものである。これまでは、西域の乾燥地で出土した三国志呉書写本断簡は、紙巻物の断片程度であり、竹簡巻物は空前である。
復元品の姿からは、後漢書巻85の東夷列傳のどこまで読めるか不明だが、おそらく、遅くても南朝期の写本だろうから、損傷などでほとんど読めないにしても、大変貴重なのだから、大いに期待したいものである。
それにしても、後漢書は南朝劉宋期の編纂であり、後漢の紙発明後500年程度を歴ているが、依然として、紙巻物でなく竹簡巻物が出回っていたことに感嘆するのである。後漢書竹簡が出土したのなら、一部で渇仰されている三国志魏志東夷伝の竹簡出土も期待していいのかと思えるのである。
以上