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2019年4月 2日 (火)

今日の躓き石 相撲界の暗雲、「元寇」の長い陰

                                     2019/04/02

 本日の題材は、毎日新聞大阪12版のスポーツ面、「待ったなし」と題された囲み記事であり、『「黒船」と「元寇」の30年』と見出し付けされている。記事自体、「元寇」は、モンゴル帝国が支配した元の国からの「蒙古襲来」と書かれているから、明らかに、角界の大きな勢力であるモンゴル出身者の威勢を諷したもののようだが、大変、大変不適切である。

 深く詮索しなくても、対馬、壱岐、両島の日本人を余さず虐殺、掠奪したあと、九州北岸に上陸し侵略行為をしたとされている中国勢(元は、中国王朝であった)の暴威と同列にされるとは、現に最高位を認められている横綱を含め、大相撲の伝統を支えているモンゴル人力士諸兄に非礼ではないか。

 いや、この記事は、ほかならぬ「東京相撲記者倶楽部会友」の見解として全国紙の誌面を占めているから、筆者は、暢気な担当外記者、外部評論家でなく、相撲界の確たる風説を踏まえて書いているものと見てしまうが、本当に、これが、相撲記者を代表する意見なのだろうか。

 当方は、一介の毎日新聞読者であるから、角界の風潮がどうあるべきだと指示する権威はないが、言うならば「純血主義」を神聖不可侵とし、神国からの外夷排斥を待望する「神風」願望があっては、角界の陋習は断ちがたいと言わざるをえない。

 モンゴル力士は、武力を背景に不法に流入したのではないのである。相撲界が、大相撲の海外への普及、親善拡大を願って、呼び寄せたはずである。別に、黒船が東京湾で、国際法に従い空砲を轟かせたからではないし、強力な大軍が博多界隈を踏みにじったものでもない。
 それに、モンゴル力士が高い地位に昇ったのは、伝統に相応しい品格を認められたもののはずである。純血ではなくても、その志は保たれているのではないか。

 いや、このようなとんでもない記事の背景には、多くの関係者の度しがたい偏見があるように思えるので、一言抗議の声を上げるのである。

 因みに、モンゴル勢の諸兄は、このような「差別視」に対し、別に抗議していないのだろうか。気になる次第である。

以上

 

 

 

 

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