今日の躓き石 早すぎる埋葬 現役「レジェンド」 毎日新聞一面の怪談
2019/04/07
今回の題材は、毎日新聞大阪13版だが、毎度誤記乱発で外しているスポーツ面でなく、堂々たる一面記事である。そして、スポーツ記事ではなく、「首長はコンゴ難民」と題した四面に続く囲み記事であり、先般ベルギーブリュッセル首都圏の首長、と言ってもガンショアンなる地区の区長に、もとコンゴ難民が当選したことを契機に、政治難民として「コンゴを離れて旧宗主国ベルギーで政治家となった」経緯を説いている記事であるが、その大事な冒頭に、ちと疑問を感じる前置きがあったのである。
記事の主題に関して、一読者としてとやかく言うことはないが、新首長の息子が、ベルギーで32才にしてサッカー界の「レジェンド」視されていることに、引っかかったのである。「れじぇんど」を、ベルギーの公用語でどう言うかは書かれていないので、その当否はわからない。
率直なところ、本来と思われる”Legend”のカタカナ語訳と思われる「レジェンド」は、元々の意味からすると、選手としては過去の遺物、プロ野球で言えば、永久欠番的存在なのである。
率直なところ、世界の多くの国に、多くのサッカー英雄がいるから、この「レジェンド」が、その名に値するかどうかよくわからないし、本来のレジェンドとなっている五指に満たないような偉大な存在に並ぶには、まだまだ、まだまだ年数がかかるのではないかと思われる。いや、近年の「レジェンド」大安売りで、本来の大事な意味などどうでも良くなったのかも知れない。それはそれである。
近来、言葉の意味のわからないジャーナリズムが、老いて盛んなご老体にその名を奉っているが、首長の息子はバリバリの現役である。つまり、見当違いの褒め損ね称号だが、本記事の担当記者は、そうした機微をご存じないようであるので、ここでも率直に指摘する。
流行り言葉こそ、ほんとに同調していいかどうかよく調べるべきである。いや、今「レジェンド」を言い立てている悪乗り連中は、元々の意味を知らずに、誤解したまま使っているから、「総選挙」でもすれば、ここで言う誤用が多数を獲得するだろうが、言葉として間違っているというのは、感染者が多いかどうかとは別問題である。毎日新聞には、軽率な迎合はして欲しくないのである。
いや、小難しいことを言わなくても、一面記事の読者の大半にとって、サッカーファンに良く知られているらしいイングランドプレミアリーグでいくら有名でも、意味不明のカタカナ言葉「レジェンド」の意味は、すぐにはわからないから、担当記者が伝えたがった意義は、読者に確実に伝わらないのである。ここは、スポーツ面のサッカー記事ではないのである。
この辺り、記者として、不用意というか、勉強不足ではないかと歎かされるのである。ここで躓いて、サッカーのことはわからないとして、先へ進まない読者もいるものと思うし、サッカーファンだって、このエサに飛びつくほど単純とは思えない。。
と言うことで、立派な記事に水を差したようであるが、大抵、大事な記事に味噌を付けるのは、頑として聳えるレンガの大壁ではなく、導入部の枕で、ポツンと路面に頭を出している躓き石なのである。
以上
追記
以下、意を決して⒋面、ストーリー面の記事本体を読むと、長男は、「FIFAランキング首位にある」ベルギーのナショナルチームの「ベテラン」、つまり、不動の中軸メンバーであり、世界最高峰のプロリーグイングランドプレミアリーグで最強チームとされるマンチェスターシテイーの守りの要の不動のセンターバック、即ち「欧州(世界)最高峰のセンターバック」と語られていて、まことに、控え目、かつ、穏当である。
記者は、サッカー選手の父としての好奇の目で取材したのではなく、本人の生き様を取材する中で、長男、次男の活躍を取り上げたはずだから、冒頭の鳴り物入りの紹介は、余計だったと思うのである。それだけに、軽率と惜しまれるのである。
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