« 今日の躓き石 毎日新聞の罪深い不見識 「フォルムフェチ」 | トップページ | 今日の躓き石 毎日新聞の曲がった意識 「盗撮でリベンジポルノ」 »

2019年5月14日 (火)

新・私の本棚 番外 諸説あり!邪馬台国S 「幻の国」余談

 諸説あり !邪馬台国スペシャル!▽古代ミステリー幻の国は”ここにあった”

 私の見立て ★★★★★ 必見 BS TBS 2019/05/10 記2019/05/14

□中級者のための地名移動論
 本論最後で、地名移動論に難癖を付けただけで、どうすればよかったか書き漏らしたので、以下、掘り下げることにします。

*先行論文の克服
 言うまでもないですが、学問の世界で新説を主張するには、先立って同じ仮説が提示されて「なかった」ことを保証する必要があります。
 実際は、「なかった」ことの証拠は挙げられないので、関連論文の最新のものを引用して、そこに、革新的な意見を追加したとの主張が順当なところです。つまり、学問の世界では、先行論文を踏まえて乗り越える「克服」が必要なのです。人文科学分野では、この手順がおろそかで、しばしば紛糾しているようですが、原則は原則、何より大事な前提です。
 ここでは、衆知の安本氏論考が引用、評価されてないのが、まことに素人くさい不手際です。

*未熟か不熟か
 そもそも「お若いの、これまで誰もその程度のことに気づかなかったと思っているのかい」と言うことです。「若い」というのは、生物学的な年齢でなく、当該分野での経験と成熟をいうものです。それとも、未熟でなく不熟でしょうか。

 百年を超える期間に当分野に学んだ多数の先輩諸氏を軒並み甘く見ているとたしなめるのです。「若い」から知らないではすまないのです。調べ尽くして同じ意見となるかもしれませんが、今回は、明らかに検討不足です。

*東遷の正否
 地名移動を根拠とした、にわか作りの東遷論ですが、単なる思いつきと言われないためには検証が必要です。とは言え、明確な文献記事が残っていないのは衆知で、いわば、状況証拠を固めていくしかないのです。(いや、これほどの画期的事件に関して、一切、文献記事がないこと自体が、有力な状況証拠と言うべきでしょうか)

 そもそも、当時、現に諸国を統属している大国が、国土を放棄して、倭人伝以後とは言え、依然として交信困難な渡海先に六百㌔㍍を移動するでしょうか。国王、高官、官僚まで移動して、早い話が九州北部での税収を放棄して、それまで徴税していなかった移動先で喰っていけたのでしょうか。それまでの現地の徴税者が、収入と権力を奪われて抵抗しなかったのでしょうか。

 氏は、中国古代の魯都曲阜の移動を前例としますが、これは国内で王都を移動した遷都でしかないので、事情がまるで違うのです。

 国家の大挙移動の明快な例としては、小国鄭が東遷した例でなく、周自体が、長安域から洛陽域に移動した変事が適例ですが、王都が蛮族に破壊され、生存者が東に逃亡、再興したというように移動の動機が示されています。

 移動先の洛陽域は、元々、全国統治の王都に準じる東都、つまり、東方諸国統治の副首都であり、支配地域の西半分を失った国家規模縮小なので、東遷先で排除されることのない、受け皿のある遷都と言えます。

 こうしてみると、氏は、実質上、九州倭国の滅亡と権力の移動を説いているのです。纏向で、亡国が再興したとは言っていないのでしょうが、以上のように考えると、事実上、その意図と見えます。

 素人でも、時間をかければ、この程度の掘り下げはできるので、斯界の泰斗からは、思いつきの早合点は避けて、深い意見が出てきて欲しいものです。番組制作者は、社会儀礼的に、こうした批判はできないでしょうから、保身の必要のない素人が、非礼を脇に置いて、誠実な意見を述べたものです。 

                              この項完

« 今日の躓き石 毎日新聞の罪深い不見識 「フォルムフェチ」 | トップページ | 今日の躓き石 毎日新聞の曲がった意識 「盗撮でリベンジポルノ」 »

歴史人物談義」カテゴリの記事

新・私の本棚」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 今日の躓き石 毎日新聞の罪深い不見識 「フォルムフェチ」 | トップページ | 今日の躓き石 毎日新聞の曲がった意識 「盗撮でリベンジポルノ」 »

お気に入ったらブログランキングに投票してください


いいと思ったら ブログ村に投票してください

2022年5月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

カテゴリー

無料ブログはココログ