新・私の本棚 番外 毎日新聞「今どきの歴史」 『天皇制の「伝統」』論 2/2
私の見立て★★★★☆ 必読 2019/05/16
*王の実力を数値化、可視化する方法
また、氏の発言を引用して「外交」と述べますが、素人目には、巨大墳墓を並行して造成できる勢力は、それぞれ、いわば独立国、独立の伝統の持ち主で、外交とは、島内諸国間外交かと思うのです。因みに、中国側視点では、「倭」は国でなく外交はあり得ないのです。語彙の時代錯誤でしょう。別の意味で、「交易」も三世紀はおろか五世紀にもなかったと思われるので、時代錯誤でしょう。誰が誰とどのような通貨、決済手段で、交易したというのでしょうか。
氏は、「実力」要素として『「外交」「軍事」「交易」の三項目が最優先され」たとおっしゃったようですが、「三項目」を「最優先」するというのは、一種の冗談かと思うのです。業界言葉であれば、一般人向けに言い直す配慮をいただきたいものです。
「軍事」は、物理的に誰が一番強いかと比較できそうですが、「外交」、「交易」は、時代錯誤で当時通用しなかったというのは別として、不可視で数値化できず互いに比較もできず、また、軍事力にどのように加味するか不明で、これら以外の書かれてもいない要素に対して優先させようがないのです。
厖大な歴史に学んでいる現代人にも趣旨不明で、当時の評価は知りようがないのです。元々、「実力」とは、政治的な折衝力とその果てに来る軍事行動の強さであり、そう解すべきのように思えるのですが、どうでしょう。
いや、当方は、氏が、推定にとどめている五世紀にどのような数値モデルで「実力」を求めたかわからないし、記者が、素人、つまり、一般人読者に通じる言葉遣いで、氏の主張を噛み砕いてくれないので、途方に暮れて質問を呈するしかないのです。随分受け売り得意の特技の持ち主のようですが、記者の使命は、読者に理解できる言葉で伝えることだと思うのです。
*「法理論」の怪、「女系OK」の怪
ここで、突然、意味不明な断定が出て来ます。古代に「法理論」はなかったので、いくら言い立てても、当時の世人に理解できない後世人の後知恵だろうし、「女系OK」に到っては、世間一般に通用する現代語ですらないのです。「柔軟性」(記者の意図は不明、趣旨も不明)にも、ほどがあります。
国家制度の根幹が、自分の書いている言葉の意味すら不確かな民間人の意見で左右されるとは思えない、いや、これは記者のことであって、氏のことでないのは言うまでもないのですが、読者は、記者の変移させた語彙に載せ替えた意見を読んでいるとは気づかないので、全て氏の意見として受け取り、氏に被害が及ぶのです。
*首相談話無理解
安倍晋三首相の答弁が引用されていますが、政治家に付きものの、強調、断言を割り引くと、男系継承が「伝統」として保たれていたことを歴史の重みと理解することに、特に、文句を付ける必要はないと思います。
記者は「正確な歴史認識」と意味不明の虚辞を持ち出しますが、歴史は人知で把握しようのない膨大さであり、「歴史認識」は人それぞれに異なる個人的感想である以上、「正確」な「歴史認識」の「共有」なぞ虚言の極みです。
まして、人それぞれの語彙で染められて認識されているから、共通の歴史認識など成立せず、具体的な論点個々について、互いの言い分が正確に互いに理解されるまで、十分に言葉を尽くして論議するしかないのです。いかに、記者が、自己視点を押しつけて短絡的な解決を望んでも、互いに理解し合えないままで結論は出せないのです。
記者は、自身の脳内を眺めて、独り言しているから、反対意見も質問も聞こえてこないでしょうが、一個人の早合点が、記者故に、制止されることがないのは、不気味ですらあります。
個人的な意見ですが、記者が記者個人の(瑕疵込みの)歴史認識を述べたことに、特に異議はありませんが、記者の認識への同意を強要されれば断固否定します。
それは、個人的意見の「独立宣言」に反すると考えるものです。今回、記者の無法な意見に同調できないと書いて結語とします。仁藤氏は、そのような無法は主張していないと思われるので、氏と喧嘩しようとする動機は全く無いのです。
いや、かくのごとき問題満載のタイトルが、乱暴で意図不明の体言止め、言いっぱなしなので、趣旨を誤解したかも知れませんが、個人的理解で述べました。
まして、タイトルを偽ってネット掲示するなど、いったい何をたくらんでいるのか、奇々怪々です。(いや、褒めているのではありません)
完
追記 5月18日17時現在、タイトル「偽装」は終了し、正しいタイトルが表示されているが、訂正したとの告知はないので、当方は現状確認に止める。
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