新・私の本棚 番外 諸説あり!邪馬台国S 「幻の国」2/6
諸説あり !邪馬台国スペシャル!▽古代ミステリー幻の国は”ここにあった”
私の見立て ★★★★★ 必見 BS TBS 2019/05/10 記2019/05/12
*冷静なコメンテーター
なお、今回の「ゲスト」と呼ばれるコメンテーターは、自由な想像力の根拠として、豊かで健全な常識と論理的な思考を備えたSF/伝奇作家であり、業界に行きがかりを持たないので、中国史官の誇張、捏造という安易な決めつけはせず、その「筆」を擁護するのは、得がたい意見です。倭人伝諸論客が、てんで勝手に読み替えしていると、軽く触れているのは至言です。
□諸説 1 畿内説
ここで、二大所在地説の一方の雄、纏向説の泰斗石野氏が登場します。物心共に長年にわたり纏向陣営の総帥ですが、もはや、牽引者の地位を譲り、格別な好意で「レジェンド」として博物館入りしていただくべきでしょう。
*科学無視の桃種論
桃種の年代鑑定結果は、想定した三世紀前半との「結果」が出ず、幅広い時代で卑弥呼時代は外してないとの判断が妥当で科学的です。倭人伝に「シャーマン」のシャの字も呪術もないのに、まくし立てるのに恐れ入ります。
*強引な土器由来談義
出土遺物は、幾つかの地方産物が、纏向から出土したと示すだけで、産地人の土産とは、氏の情感に訴える「心地良い」仮説に過ぎません。
「全国」から山河越えて土器を抱えて参上したとは誇張そのもので戯画てす。物は、交易連鎖で辿り着いたのであり、人は来たかどうか不明と見られます。
冷静に考えて、文字のない時代、纏向から板東(例)に、土器を抱えて来いと「指示」するには、当人が出向き、直に面談指示するしかなかったのです。
心地良くても合理的な説明のない仮説は、火水の「試錬」に晒すべきです。
*丹に纏わる綺譚
今回、藁をも掴む畿内説補強策として、紀伊半島特産の丹に関して、事実誤認、時代錯誤の発言が横溢しています。
採掘遺跡だけで水銀精製(焼成、脱硫)遺跡は示されず、史料の丹献上記事が、意識の彼方に飛んで迷走しているのは、痛々しいものがあります。丹は、顔料医薬の価値があり、水銀は無価値です。汞と丹は、外観性質の全く異なる異物で混同してはなりません。
それほど重要な資源採掘現場に鉄器を導入しなかったのも不可解です。
汞ならぬ丹が珍重されても、共通通貨も交信手段もなく、代金保証の手段もない時代、纏向集団が中国と直接交渉で丹を「輸出」はあり得ず、物物交換の長いハシゴを辿って、ゆるゆると各地の土器を集めたのでしょう。
*畿内説の光と暗黒
畿内説は、八世紀初頭の広域政権としての偉容に異論は挟めないとはいえ、五百年後の世界像を三世紀に持ち込むと無理が目立つのです。
御当人に格別の野心はなくても、長年に亘り多額の公費を得て、いわば孫の代までの負債を抱え、尺進あって寸退なしなのでしょうか。今後、何年、何億かかっても、奈良盆地全体を掘り返してでも「結果を出す」との執念が聞きとれるのです。
何歳まで君臨される想定なのでしょうか。
未完
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