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2019年6月24日 (月)

今日の躓き石 今どきの歴史 令和元年六月分 土器焼成技術創世記の怪

                            2019/06/24
*悩ましさの時代
 毎度お世話になる「今どきの歴史」ですが、今回は見出しに困惑しました。「悩ましい」は、近年、将棋界で多用されていますが、古手読書人には、官能分野の用語と聞こえるのです。読む人によって語感が異なる言葉遣いは厳禁、と言うのが、全国紙記者の職業倫理だと思うのですが、当記事担当者は、今どきの人なのでそうなのか、何とも無頓着です。

 今回の記事は橋詰氏(潤・新潟県立歴史博物館主任研究員)の意見のほぼ丸写しのようですが、全体として、氏の学界言葉を口移しするだけになっているのはどうかと思うのです。

*「事実」の大安売り
 一つには、ここに書かれているのは、あくまで、一考古学者の意見であり、学会発表したものの「裏」がとれてないはずなのです。例えば「最初の土器が東アジアで出現した事実」と断言しているのをそのまま伝えるのはどんなものでしょうか。「事実」と勝手な言葉遣いですが、多分氏の個人的推定に過ぎないし、当時、東アジアと北アフリカのどちらが先だろうと大勢に影響ないのではないかとおもえるのです。

*土器焼成技術の起源
 一部では、東アジアで発祥した土器焼成の技術が欧州まで伝搬した、と心地良い「噂」が流れているようですが、この新技術は、火山性山火事が見られる日本列島で発見され大陸に伝わったかとは、古田武彦氏が唱えたものと思います。
 それはさておき、橋詰氏は、この「噂」に懐疑的のようですが、それにしても、当記事の「図」を信ずるならば、中国南部雲南省あたりが発祥地で、そこから各地に伝搬したとの意見のようです。その「事実」は、将来も動かないのでしょうか。

 言うまでもないのですが、土器焼成とは、その辺にある粘土を適当に捏ね上げて、たき火に放り込んで一丁上がりではないのです

*根拠不明の議論
 ついでながら、橋詰氏作図なる原典不明の地「図」が、当時の地形との確認はどうなっているのか不審です。
 また、各年代推定が、どのような手法で行われたか示されてないのも困ります。当記事の以前の回で、C14年代推定が今後、参照データが変化して、判定結果も変わると想定されています。

 言うまでもないのですが、当時は、別に全国紙が報道していたわけではないから、各地への技術伝搬は不確実で低速であり、もとより、一山越えれば食材も食習慣も違うから、それは、単一文化風俗の地域ごとの違いという「多様性」と違い、元々、別々のものが、互いに影響し合っていただけではないのか。
 また、無造作に括られた範囲内が、一カ所の窯元から独占供給されたのか、細かくのれん分けしていたのかも興味深いところです。

*最後の大見得
 第二区分の最後から橋詰氏の長口説が始まりますが、学界用語らしき漢字熟語に言い崩したカタカナ語が混じって敷き詰められていて、とても、一般人が言葉の意味をすらすらと読み解けるものではないのです。「その説明」と言うのは、こんな感じで、遺物、遺跡に記されていない研究者の手前味噌のこじつけを言うのでしょうか。同時代人の心に寄り添わなければ、当時の事情を察することはできないのではないでしょうか。そして、一般人の心に響く言葉遣いで語らなければ、伝わらないのではないのではないでしよう。そこを繋ぐのが、考古学者の使命だと思うのです。

 そして、こうした呪文を噛み砕いて伝えるのが、歴史マニアならぬ、専門記者の使命ではないのでしょうか。三段落にわたり、判読困難な引用が続きますが、この後、橋詰氏が、自分の考える「真相」が「見えて」きたと称して、「モデル」を妄想し、「ストーリー」を創作して、勝手に張り切って、この調子で、言葉の通じ合っていない読者に押しつけて来るのはたまらないと感じるのです。

*総評
 毎回ですが、毎日新聞の当記事は、単なる報道か、新聞社としての見識披瀝か不明です。個人的に悩ましがっている場合ではないでしょう。
                           以上

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