今日の躓き石 将棋界の「オールラウンドプレーヤー」について
2019/07/14
今回の題材は、NHK Eテレの将棋トーナメントの解説者の口ごもりである。
両対局者が「オールラウンドプレーヤー」で戦型予想が難しいと連発していたが、いかにも、芸のない言い方である。事前に対局者名は知れていたし、棋風は承知していて、紹介文句を練っていたろうから、こんな長たらしい、意味不明なカタカナ言葉を口ごもるくらいなら、誰でもわかるように、「どんな戦型でも得意として指しこなすので穴がない」とでも言えば、聞きやすかったと思うのである。
そもそも、「オールラウンドプレーヤー」というのは、バスケットボールのようなチーム競技で、チーム構成、攻撃と防御の陣立てを考えるとき、攻撃、防御の両方に水準以上に対応できる万能プレーヤーを指して、チームにとって便利な「オールラウンドプレーヤー」と称したように思うのである。かたや、MLB、つまり野球界では、よその真似をせずに、極端な場合には内外野を問わず、どこでも守れる多機能選手を「ユーティリティープレーヤー」と呼んでいるようである。
いずれも、「将棋の齣」の形容である。チームプレーヤー個人の性格、特性を語るものであるから、個人で陣立てし個人で戦う将棋棋士には、ふさわしくない形容に思うのである。
是非、業界として、もう一度じっくり吟味して、適正な言葉遣いを検討戴きたいものである。
観戦記者を含めて、凡そ記者は、メディアで生活を維持するために、珍奇な言い回しを、拾い食いのように見境なく取り込むものであり、しばしば、勘違いして暴言を発揮するものである。頭から信用してはいけない。
まして、「オールラウンダー」などと、NHKが止めるようなきたない言葉は、日常使わないようにしてもらいたいのである。世界の頂点に立つプロ棋士は、世界の頂点の品位で言葉を選んで頂きたいものである。
以上
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