今日の躓き石 NHKBSの「リベンジ」汚染の深刻さ 「放送事故」疑惑
2019/09/11
今回の題材は、二日遅れになった。留守で時間がかかったのである。
問題の番組は、9月9日の深夜の「ワースポ MLB」である。といっても、番組紹介に名を連ねている解説者とキャスターに失言があったわけではない。ヤンキースの田中将大投手が、「リベンジ」しようとしたが「リベンジ」どころか、返り討ちに遭って、負けこそ付かなかったが早々に降板したという報道になっている。ご丁寧に、画面右上に「リベンジ」がどうたら書き立てられている。飛んだ、恥っかきである。誰か当日の担当者が、悪意を込めたスクリプトを書いてコメントを入れたのだろうが、要はNHKの責任である。こんなことでいいのだろうか。
田中投手は、プロだから、負けたら、技術面を中心に叩かれても仕方ないが、MLB屈指の好投手が、自分の感情にとらわれて、憎い相手チーム(全員?)をぶっ殺す覚悟で試合に臨んだというのは、一大スキャンダルである。国際版のNHK Worldで忠実に報道すれば、それを見たチームメイトは、田中投手が個人的な遺恨で荒れ狂っていたと知って見る目が変わるだろう。まして、ヤンキースは、紳士の集団である。球団幹部も怒り狂うだろう。
しかし、田中投手は、そんなことは、一切言っていないのではないか。インタビューを聞く限り、至って冷静で、プロとして一流の紳士であると思う。
大体、MLBの先発投手の柱であれば、ある程度負けることは避けられないし、打たれたくないところで打たれたいやな奴も少なからずいるだろうが、それを個人的な恨みにしてしまったら、一年中「リベンジ」ばかりになる。感情に溺れていたら、競争の厳しい世界で、やっていけないはずである。
タフでなければ生きて行けないというのは、別に、残虐気質を言うのではない、打たれても屈しない、感情をコントロールした、不屈の闘志を言うはずである。解説者もキャスターも、至って筋の通った紹介をしていると思うので、別人のしつこい「リベンジ」発言に悪意を感じるのである。
事態を総合すると、報道機関であり、公共放送であるNHKが、意図的に、特定の選手について悪意に満ちた報道を行ったことになる。そうでないなら、堂々と当人の発言を「報道」すべきである。
もちろん、当方はそのような報道をせよと言っているのではない。NHKほどの見識があれば、舞台裏で不穏当な発言を指摘して、このような「放送事故」を未然に防ぎ、あたら前途ある選手の名声に血と泥を塗りつけることは、止められるはずである。そうすれば、子供達に忌まわしい言葉が広がるのを、少しでも防げたはずである。
大阪履正社の例を挙げるまでもなく、高校球界に「リベンジ」汚染がはびこっていて、監督から選手に暴力指導ならぬ暴言指導されていることが、ほかならぬNHKの報道で暴露されている。NHKは、このような嘆かわしい事態を是正しようと思わないのだろうか。
いろいろ、問題の根深さを感じさせられたのである。
以上
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