今日の躓き石 毎日新聞スポーツ面の「リベンジ」病 いよいよ深し
2019/10/11
今日の題材は、毎日新聞大阪朝刊14新版のスポーツ面、パリーグCS戦評の右肩、大変目立つところの大失態で、紙面全体に泥を塗っている。
6失点(全8失点の大半を独り占め)とあるから、当の投手の失態以外の何物でも無いはずなのだが、担当記者は、「一年前のリベンジ」と始める。まるで、食べ残しの去年の秋のスイーツでも言うようだが、どうも、一年前の敗戦の仕返し、と言うつもりで書いたらしい。まず、読者が読んで理解できないような、すさんな「言いはしょり」は戒めるべきである。
当段落の最後の行は「た。」で終わって行末まで空白が続いているから、あと7,8文字書けたのである。何を焦って字数を削ったのか。記者の意図が正しく伝わらなければ、記事全体がゴミ、フェイクニュースになる。
そして、肝心の「リベンジ」であるが、去年負けたから、今年は相手チームに仕返しするというのは、相手が多すぎて、ぶつけるのか、蹴飛ばすのか、とても間に合わないだろう。報道が正確で、選手自身の本意としてそんな野蛮な闘志を掻き立てないとマウンドに立てないのだったら、さっさと引退すべきである。記者は、投手に対して、そのような烙印を押しているのだろうか。全国紙の報道として、大変疑問である。なぜ、編集関係者の誰も、こんな書き方で、そうでなくても負けの責任を一人で背負い込んでうつむいている敗戦投手を居丈高に叩くのをやめさせないのだろうか。これでは、次は、今度こそ死ぬ気でリベンジしろ、とせき立てているようである。大した報道である。
因みに、本日の社会面では、反社会勢力のリベンジ合戦が語られている。死者が死者を呼ぶ血の連鎖の報復(リベンジ)合戦である。スポーツ面記者は、この流れにあやかりたいと思っているのだろうか。
漢字で書こうとカタカナで書こうと、血の復讐は、血の復讐である。英訳すれば、どちらも「revenge」である。海外に伝えられない、子供達に真似させたくない粗暴な言葉遣いは、固く戒めて欲しいものである。
以上
素人の余談であるが、投手が言うように捕手の指示通りのコースにきっちり投げられなかったから、18打者に3四死球、7安打となったとすると、「荒れ球」、つまり、指示したところから外れると最初からわかっている投手に、微妙なコースに投げるように指示した捕手の方針間違いが、打たれた原因ではないか。全て投手の責任とするのは、早計ではないか、と思うのである。
記者が投手の将来を思うなら、いい加減な罰当たりなカタカナ言葉も、安っぽい感傷も捨てて、ちゃんと、冷静に全体を見て書くべきである。毎日新聞スポーツ面記者は、そのような高邁な視点の持ち主と思ったのだが、どうだろうか。
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