新・私の本棚 番外 白石太一郎 考古学からみた邪馬台国と狗奴国 1/1
2019/11/01
吉野ヶ里歴史公園 特別企画展記念フォーラム「よみがえる邪馬台国『狗奴国の謎』」講演記録 2012年10月13日
*私の見立て ★★★★☆ 重大な資料
□総評
ここに指摘するのは、白石太一郎氏(大阪府立近つ飛鳥博物館館長[2004~2018]現名誉館長)の席上講演の冒頭部分ですが、現代の考古学者が、文献史学に対して抱いている先入観と考古学の「研究成果」が、どのような背景から生み出されているかを物語るものとして、ここに、深甚な敬意を込めて、あえて失礼を顧みず、率直な批判を加えたものです。
素人目には、我田引水としか見えませんが、この「方向性」の元、古墳研究の成果が粉飾され三世紀中頃に「近畿の大和を中心に西は北部九州に及ぶ広域の政治連合」広域政権連合を創造したことに危惧を抱きます。端的に言うと、「邪馬台国」「畿内説」は、このような研究成果に整合するように創造された人工的なものであり、文献史学の(さまざまの)問題が、この結論を妨げないように、これまた人工的に巻き起こされたのは痛々しいものがあります。
是非、偉大な業績に相応しく、このような不合理な混沌を是正し、晩節を正していただきたいものです。
*講演引用と批判
『魏志』倭人伝にみられる邪馬台国や狗奴国をめぐるさまざまな問題は、基本的には文献史学上の問題である。ただ『魏志』倭人伝の記載には大きな限界があり、邪馬台国の所在地問題一つを取り上げても、長年の多くの研究者の努力にもかかわらず解決に至っていないことはよく知られる通りである。
専門外の文献史学に対するご指摘の様相は、現代の文献史学界が各人の言いたい放題に見えているだけであり、二千年近い過去の書「倭人伝」に現代人を惑わす「限界」などない。泥沼化した「研究者」の責任である。
一方最近では考古学、特に古墳の研究が著しく進み、定型化した大型前方後円墳の出現年代が3世紀中葉に遡ると考えられるようになった。その結果、3世紀中葉頃には近畿の大和を中心に西は北部九州に及ぶ広域の政治連合が形成されていることは疑い難くなってきた。したがって今日では、こうした考古学的な状況証拠の積み重ねから、邪馬台国の所在地は近畿の大和にほかならないと考える研究者が多くなってきている。
学術的な議論の動向は信奉者の頭数で決めるものではない。また、軽薄な状況証拠、つまり、物証なき憶測の積み重ねに重みはない。ここで言う研究者は、白石御大の声の届く、見通し範囲ということのようだから、ご自身の弟子だろうか。犬が西向きゃ、で、まことに素人くさい我田引水である。
泰斗がご自身の存在価値を実証しようというのであれば、そうしたお手盛り世論調査でなく、全国で「解散総選挙」した実数を報告すべきである。いや、それにしても、パワーハラスメント、党議拘束の懸念が濃厚であり、重みに欠けるのであるが、せめて匿名回答が必要である。
そうでなければ、ただのどんぶり勘定であり、学問上の意見とは思えない。
ここではそうした最近の考古学的な研究の成果にもとづき、邪馬台国と狗奴国の問題を考えてみることにしよう。
そのような目算、手前勝手などんぶり勘定を、「研究の成果」と呼ぶようでは、白石氏の唱える「考古学」は、まことにうさん臭いとしか言わざるをえない。
以上
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