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2019年12月19日 (木)

新・私の本棚 番外 英雄たちの選択 追跡!土偶を愛した弥生人たち~1/2

 縄文と弥生をつなぐミステリー 2019/12/04 NHK BSプレミアム

*私の見立て ★★★★☆ 旧悪を雪ぐ好番組     2019/12/19

□駆け足批評
 いや、当番組の展開は、あまりに画期的なので、当方の感想をそのまま公開して良いかどうか大変迷ったのです。いや、番組全体の流れに大きな異論はありません。あくまで、隅っこをつつくだけです。

*NHK軽率史観の是正
 まずは、従来のNHK歴史関連番組で展開されていた素っ頓狂な呪文が述べられています。大陸から伝わった水田稲作と青銅器・鉄器を特徴とする弥生文化が、瞬く間に、縄文文化を席けんして、弥生時代が到来したというのが、これまでの通説でした。これは、NHK自身の解説の丸写しです。(NHKの著作物の適法な引用です)

 いくら何でも、こんな馬鹿げた通説が通用するわけはないので、これは、NHK制作陣の妄想でしょう。自分で妄想を描いて自分で揉み消すのもおかしな話ですが、マスメディアというのは、そう言うものです。

*磯田流早とちり連発
 例えば、高名な磯田道史氏が、MCとして教科書の図示を嘲笑していますが、とんだ見識違いです。縄文時代から弥生時代への移行が、「一本の線」で区切られていておかしいと言いますが、画面で見る限り、描かれているのは結構太い線であり、それを、百年の幅とみるか、千年の幅とみるか、いずれにしろ、結構な期間を要したという表現であり、作意がちゃんと読み取れないとしたら、是非、小学校から勉強をやり直してもらいたいものです。

 氏は、江戸時代の古文書の考察で大を成していますが、図やグラフの見方は、小学校以来、随分やり残しているということです。

 因みに、グラデーションなどと気取っても、地域によって大差があるのですから、合理的に塗りようがないのです。大事なのは、読み解く方の知性であり、図形認識には、感性も要求されるのです。

*ものの交流は双方向
 それはさておき、対照時代の世相について、西から東への文明の流れしか見ていなかったというのは軽率です。西から東にものが流れるだけでは、世の中は成立しません。ものが流れるのは、交易の長い鎖を伝うのであり、一つ一つの流れは、何かと何かの交換で成り立っていたのです。

 つまり、西から東に銅器が流れるとしたら、対価として何かが逆方向に流れたとみなければなりません。経済学はなかったし、価値観は、時代地域で異なったとしても、物の道理としてただでは何も得られないのです。いや、見合った価値と双方が認めない限り、その場で交換が成立しないのです。

 その一つが安産のお守りであったろうし、他にも、遺物として残らなかった何かがあったろうというものです。それにしても、古代史談義で、ネットワークとは、けったいな話です。問われたのは、どうやって知り、どうやって移動したかというのですがね。

*NHK歴史観治癒の妙薬
 そういう意味では、今回の番組は、従来のNHK歴史番組によって視聴者に植え付けられていたであろう安直な史観を、少しでも健全なものに戻すのかも知れません子供も見ているのですからね。

                                未完

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