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2020年1月23日 (木)

新・私の本棚 中島 信文 「古代中国漢字が解く日本古代史の虚偽と真実」1/3

 本の研究社 2019年12月初版 アマゾンオンデマンド書籍

私の見立て ★★★★☆ 深い知見・考察の新たな史学書 必読                   2020/01/23

〇総評
 中島信文氏は、多年工学・技術分野の実業に従事され一代を画した方であり、引退後は、当分野の古代史に関して、広く関連文献を精読し、新鮮な視野から俗説の弊を正していることに、賞賛を惜しまないものです。

 但し、当方も、独自に同様の考察を重ね、異なった視点から異なった意見を発言しているので、同意できない事項は率直に不同意とします。

*批判口調のおことわり
 過去の「批判」に対し野次馬から非難がありますが、それは了見違いです。時に、浅慮とか早合点と言いますが、氏ほどの見識の持ち主でも勘違いはあり、「浅慮」として「再考」を求めるのは本質的な謬りでないからです。

 浅慮でなければ氏の真髄への攻撃になります。騒々しい野次馬は、分別がない、単なる無教養ですが、中島氏には、迷惑なご贔屓筋でしょうか。

*史料観への共鳴
 国内古代史学界は、数世紀に亘る巨大な虚構に満足していて、虚構に邪魔な「倭人伝」への執拗な偏見が堆積し、倭人伝支持論者、例えば、古田武彦氏への執拗な攻撃は惨憺たるものがあります。論争上の批判、意義は当然なのですが、人格攻撃が散乱して、肝心の論議が埋没しているのです。

 いや、そうした感慨はさておき、中島氏の論考は、中国古典史料から出発して、大変貴重なものです。そう言うと、中国史料絶対視との定番批判が出ますが、氏の諸論考は、慎重な史料批判を経た上のものであり、安直な先人追従べったりの俗説、魏志否定とは、大いに異なるものです。

*偽書「倭人伝」の時代
 資料を改竄したものは、もはや史料でなく、現代人の創作した偽書です。

 ということで、ようやく本論です。文書解釈では、「まず、筆者の真意を読み取る」の大原則を知らない朴念仁が徘徊し、前置きせざるを得ないのです。

□循海岸と言うこと
 一番大きな異論を最初に載せておきます。

 氏は、倭人伝道里、行程記事冒頭の「従郡至倭循海岸水行」で、海岸沿いに船で行くとの俗説を棄却しています。但し、「循海岸水行」は、内陸を行くのに漢江から洛東江を「主として」水行する、半島内水行の解釈を採っています。

 当方は、半島内陸行が無論の当然であり、俗説は稚拙な誤解として論破、棄却していますが、半島内行程を、主として「水行」と見ることには同意できません。

*半島内水行への異論
 端的に言うと、唐六典に収録されている「水行」は、河水(黄河)、江水(長江、揚子江)他を水流と帆走を利して人馬を労することなく物資搬送する事に決まっていて、運賃旅程が公示されています。つまり、単なる河川利用を言わないのです。倭人伝の行程は、地方拠点帯方郡から倭人の治までの所要日数であり、あわせて、何里を経過するか付記しているのです。

 無論、急務を要する郡官道を、漢江から洛東江を水行する、主として半島内水行とすることはあり得ないのです。


                                未完

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