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2020年1月12日 (日)

今日の躓き石 大変残念な大学ラグビー準優勝コメント「リベンジ」の大変残念な毎日新聞報道

                                        2020/01/12

 今回の題材は、毎日新聞大阪朝刊14版スポーツ面のラグビー大学選手権決勝の報道である。勝負の結果は、今回の主題ではないので、敢えて書かない。
 準優勝チームの三年生「司令塔」が、「来年はリベンジを果たしたい」と失言したのを、毎日新聞記者が「リベンジ誓う」と小見出しにして、ことさら謳い上げているのである。発言の「リベンジ」は、ひょっとすると再度決勝の場に臨みたい、あるいは、次はきっと勝つ、という程度の柔らかい意味だったかも知れないが、記者は、時代物の血なまぐさい語感で煽り立てているのである。多分、言葉の本当の意味を選手に教えているのかも知れないと、興ざめするのである。
 来年、別チームの一員で決勝に臨んだとしても、所詮別のチームとの対戦であり、そこで勝って優勝しても、今年勝てなかった事実に変わりは無いのである。両者ともに、意義の無いことを言い立てているのである。

 大変残念なのは、このように報道されてしまうと、準優勝チーム主将のコメントが、今回は恥をかいたが、次はぶちのめして恥をかかしてやるという意図なのか、それとも、天に代わって仕置きするという意図なのか、いずれにしろ、まことに粗暴な感情の低次元の吐露であり、まるで、子供の口喧嘩の捨て台詞になってしまって、とても、スポーツマンとして大学ラグビー最高峰の地位に立った、広く尊敬を集める選手の発言とは思えないのである。
 私見であるが、そもそも、選手権の決勝の舞台で競い合えるということが最高の栄誉であって、その際の勝負に価値を見出すのは、大変な勘違いをしていると思うのである。いや、観客や支援者は、最後まで勝ち続けろというかも知れないが、当の選手の観点は違うと思うのである。いや、素人の勘違いも知れないので、選手に押しつけるつもりはないが、年寄りは、スポーツマンシップの真髄はそのような崇高なものだと、勝手に思うのである。

 今回も、毎日新聞スポーツ担当記者、並びに、紙面に表れる言葉に全面的に責任を持つ校閲部に文句があるのだが、なぜ、各地で展開されているテロの根源となっている、絶対神の命じる聖なる使命である「リベンジ」なる「天誅」をここで起用したかということである。

 つまり、かくの如く、血なまぐさい復讐心を、この場で語ったと、わざわざ報道するのだろうか、ということである。ものを知らない選手が、公言してはならない言葉を口走ったとしても、そのような重大な失言を報道しないのが、この際の報道陣の務めではないだろうか。当の選手は、終生消せない汚点を世界に広げられて、取り返しがつかないのである。そのような苛酷な報道は、全国紙の成すべき努めでは無いのではないか。

 また、不出来な記者が不都合な記事を書いたとしても、校閲段階で発見して言い換えて失態の拡散を止めるのが、真に知性のある校閲ではないだろうか。先般、AI校閲が導入されるとの提案を受けたと不快感をにじませている小コラムが掲載されたが、こうした実態を見ると、本職が知性を発揮できないとしたら、言葉の護り人たる毎日新聞の最後の砦として、見落としのない細心の知力を示す機械知性が必要では無いかと思うのである。

 それにしても、折角、長期に亘る高校ラグビーの報道で、高度な報道を展開したスポーツ面記者が、全国からの注目を集めている最高峰の舞台で、飛んだ粗相をするとは意外であった。試合の細部に目を配り、具体的な体と心の動きを取り上げていた、絶賛に値する見事な報道から見ると、大学選手権決勝となった途端に大違いである。実は、それまでワールドカップなどの報道で横行していた「フィジカル」「メンタル」頼りの空疎で軽率な報道でなく、 実のある報道と、日々の紙面で見ていたものである。良い折がなかったために、ここで褒めることになり。やや場違いであるが、良いところはちゃんと認めているのである。

 関係者がそう思わないのなら、関連記事をよく読みなおして欲しいものである。
 知性ある校閲に求められるのは、実態に即した、行間、紙背を読み通す羅解力ではないだろうか。伝統ある全国紙には、それを求めても良いように思うのである。

 いや、当方は、一介の定期購読者であり、ほんの一票の発言権しかないのであるが、言うべきと感じたことは、敢えてここに述べるのである。(何の権力も無い、言うだけという意味である)

以上

 

 

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