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2020年1月27日 (月)

新・私の本棚 番外 邪馬台国の会 第384回 邪馬台国の会 講演録

 『朝倉からの最新情報』(卑弥呼の墓は朝倉にあった!?)
 安本理論を前提とした各論の試み
私の見立て ★★☆☆☆ 論考として未整備                                       2020/01/27

1.『朝倉からの最新情報』(卑弥呼の墓は朝倉にあった!?) 井上悦文
 井上氏の論説には、根拠の無い憶測が堂々と論拠として運用されている。

『倭人伝』編纂時、草書が多かったとは、三世紀の晋都洛陽の風潮だろうが、実証なき断定は学術的に虚言に近い。古写本断簡は草書でなく、倭地での証拠は皆無である。氏の示す草書は、史論に無関係な現代書家の手遊びで、七~八世紀国内文書に略字趣味はない。全て、証拠提示がない空論である。

 夢想断言的論説は、安本理論支持どころか、足を引っ張っていると思える。

2.安本理論を前提とした各論の試み 河村哲夫
【テーマⅠ】里程論について  (批判の範囲を限定して失礼する)
 「安本理論」依拠と言うが、いつどこで提言した、どんな理論なのか、根拠不明である。
 因みに、安本氏は、学問の徒であるから、憶測、推定は、それなりに開示するだけで、根拠なしに断定はしない。
 以下の論考は、無理が、不用意に山積、露呈している。

*無謀な想定、無理な推定
 「水行十日陸行一月」を水行なら十日、陸行なら一月として、水行十日の旅程を一月かけて陸行は不法であるし、水行で陸行の三倍速は、到底不可能である。その程度の初歩的な分別は、講演に際して、表明されてしかるべきではないか。

*陸行一月 郡狗(帯方郡~狗邪韓国)の陸行解釈は妥当
 郡狗七千里とあるが、後述の大迂回水行と同じ道里の筈はない。但し、当経路は、山越えの難儀はあっても、駅逓の整った官道で保証された日程であり、一日三百里は普通(官制)規準と見える。先例を隈無く見渡しても、こちらが、本道ではないかと思われる。
 但し、勢いに任せて三度の渡海を、断りなしに読み飛ばすのは不可解であり、暗黙の[陸行]と皇帝が見てとって、怒声を浴びせても驚くものではない。史官斬首である。

*一目無理な水行
 「水行十日」の内訳として、郡狗が、水行七日、七千里とあるが一日一千里、陸行の三倍の根拠が見えない。
 水行は、断り無く沿岸航行と読み替える無理を通すとしても、天候、風向、潮流で遅延が絶えないのに、漕ぎ船で一日百㌖近く移動するのを当然と断言する根拠が示されていない。また、かくなる無謀な官道行程は、空前である。

 三度の渡海を各一日、計三日と見切るのも、水行遅延を無視して不合理である。ここは、確実に達成可能な日数を書く筈である。つまり、倭人文書使が郡~末羅間を十日は到底不可能で、遅延が常態化し、郡太守が譴責懲罰されること必至の無法な日数だから、郡から皇帝に報告されるはずがない。

 陸行と明記された、倭地内道里が無視されているのは不可解である。

*見過ごされた批判
 「水行十日陸行一月」をいち早く郡倭日数とした古田武彦氏の(*及び*)解読に上田正昭氏は、そのような書法は、およそ先例が無いとにべもない。

 さらに、投馬国の水行二十日の郡起点は更に先例から遠い。倭人伝読者は、巻物の竹簡を見透かす人間業とは思えない能力の持ち主だったのだろうか。

*根拠不明の強弁 便乗疑惑
 河村氏は、安本氏の諸論のどの部分を根拠としたのか不明で、所在地論を利用しただけで、後は、自説強弁しているのではないかと懸念される。

 これでは、安本氏の引き倒しと見られても、仕方の無いところである。

 ついでながら、講演資料に多用した図表は、講演者自作か、引用・転用か不明である。著作権の常識から、引用出典と加筆修正点を明記すべきである。万全とは行かないだろうが、多少は、遵法精神を、模範として示されたらいかがだろうか。

*過剰な資料 豊穣に食傷
 講演会の席上資料が粗雑で良いはずは無い。大量資料のその場での読解を前提とする、飛躍の多い厖大な主張は講演に相応しいとは思えない。まずは、足元を固めて、次に拡張するものではないか。


                               以上

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