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2020年3月25日 (水)

新・私の本棚 番外 NHK 「あなたも絶対行きたくなる!ミステリアス古墳スペシャル」 2/2

 放送 2020年3月24日 よる10時 総合 NHKG
 私の見立て ☆☆☆☆☆☆ 独善の虚説、「フェイク」                     2020/03/25

*無意味な若者迎合 
 番組は、にぎやかに囃し立てて、うまく人選された、悪乗り得意な、定見のない若者を乗せているが、それは、医薬品などの通販広告に時にある「教授」の囃し立て、個人的感想による印象操作手口ではないのだろうか。それは、公共放送の番組に相応しくない。NHK内部に番組審査機能はないのだろうか。

*頑固な背教者
 三世紀早々に古墳造成開始、全国一律形態と言いながら、東北独自に「前方後方墳」はどういう趣旨か。中央に宗教的権威があるなら、なぜ、背教者は討伐されなかったか。素人目には、中央より先に造墓技術が存在した「先進性」を見るのである。

*唐突な倭人伝援用
 その後に、「古墳」は、三世紀早々に確立していて、倭の女王卑弥呼はその様式で埋葬されたと言い放って唐突である。ここで、なぜ、「信用のおけない」(そこまで、そう見て無視していたらしい)外国文献史料を持ち出すのか、うさん臭い話しである。
 しかも、倭人伝の記事全体を丁寧に読んだら、そのような埋葬は書かれていないのではないか。

*廃品再生した銅鏡論
 銅鏡談義で、太古、倭人伝誤解釈を支えた輸入品説が、学問的棄却を克服(無視)して新装されているのは困ったものである。スズメ百までということか。

 広く配布したはずの銅鏡が、特定の古墳に多数埋設されているのはどういうことなのか。その何倍もの数を、各地に配布して地上に残したというのか。簡単な問いだが、想定外なのか、そうした当然の質問もなければ、回答もない。教師は教鞭を振るい、生徒は無批判のスズメの学校の趣向である。いや、これは、Eテレの教育番組ではないから、思いつきで何を言ってもいいということなのか。

*魔鏡乱入
 本筋と無関係の魔鏡が、古墳考察の本筋と脈略なしに、突然舞い込んでくるのは、歴博の広報戦略か。この議論は、安本美典氏が手厳しく批判しているのだが、何の反応も反省も無く、的外れな実験模様を再生しているのである。

 魔鏡の研ぎ出しと言うが、新鋳銅鏡は所望の輝きがあるから、強力研磨しないのではないか。なぜ、裏面の影響が出るほど研ぎまくるのか。
 魏晋朝にすれば、蛮人にくれてやる旧鏡を、百枚にわたって精巧仕上する謂れはない。関係者はみんな、宮殿装飾品の新作などで忙しいのである。
 一部説のように、新作でなく、宮廷倉庫に眠る後漢代の小振りな鏡を動員したのであれば、ここに上げられたような盛大な演出は無関係、無縁である。

 いや、この形式の鏡は、国産の新作と理解しているから、魏朝下賜物銅鏡百枚と魔鏡は全く関係無いとの前提なのかも知れないが、そうは聞こえない紛らわしい言い方であった。但し、出演者からの追求はなかったから、話は通じていたのかとも思えるのである。(展開は、台本次第と言うことか)

 いや、理科実験は理科実験として、その発想と努力をねぎらうとしても、考古学の上で、ここに取り出された魔鏡が、古墳の全国展開に対してどんな意義を持っているのか、よくわからないのである。もちろん、一流の人材が見たところ、絶大な意義があるから、このように唐突に発表したのだろうが、見ていてその趣向が理解できなかった。番組構成上、何か失敗しているのではないか。

*幻の銅鏡国産工房
 以前から思っているのだが、国内の何れかの交通至便な、つまり、物資輸送に適した工房で、これほど大型の銅鏡が、大量に営々と作られたと思えるのだが、そうした銅鏡工房の遺跡は、畿内のどこかにに見つかったのだろうか。
 素人考えでは、奈良盆地の北、淀川水系に即した木津や後の恭仁京あたりに遺跡が眠っているように思うのである。

 当然のことなのだが、念のため補足すると、銅鏡製作には、大量の銅素材以外に燃料とか鋳型の素材とかも、大量に必要であり、また、銅鋳物の型を構想し、試作を繰り返して改善するなど、芸術的に彫り上げる工人以外に、型を実作する職人、坩堝に火を焚いて銅を溶かす職人、さらには。銅鏡を鋳造する工程の汗かき、力技職人、上がった鏡の仕上げ職人、輸送用の木箱や柳籠を編み上げて作る職人、詰めものする職人、そして、川船までの運びやなどなどの多数の汗っかき役以外に、全体の資材管理、日程管理、職人の出欠管理などに加えて、どんな通貨があったにしても、銭勘定は必要だし、結局、近現代の町工場なみの経理、営業、持斎・購買などの管理が必要であり、魔鏡ごっこなど物の数ではないのである。こう考えると、何も遺物が残らない謂れはないと思う。

*新陳代謝幻想
 新説をでっちあげ、永年墨守してきた旧説を淘汰、棄却するのは、「進化」の常道だが、古代史の世界で、本当にそれでいいのだろうか。新構造、新材料登場で旧式、旧材料が、敝衣の如く遺棄される業界ではないのである。

*戦線放棄、敵前逃亡
 古墳に多額の国費を注ぐ以上、世に訴え支持を得る使命感には深く同情するが、外連(けれん)と虚構(うそ)で、長年、全国各地で考古学の活動に勤しんできた先人が確立した貴重な定見を排除するのは、罪深いフェイクである。目的は手段を正当化しない。恥を知るべきである。

 倭人伝解釈で、邪馬台国に固執した畿内説の面々が、鬱屈した敗勢に耐えきれず、使命観に目覚めたのか。新時代になって、倭人伝を単なるできの悪い外国史料として棄却する戦略に転進したのは、何とも、いたましいものがある。

*取り残された誤記論
 そのような参謀本部の転進では、論争最前線で倭人伝誤記説にこだわって畿内説を死守する良識派は、今回の番組で見捨てられたと感じるのではないか。倭人伝は、古墳新説の聖戦の前には、埋もれた古戦場に過ぎないのか。

〇まとめ
 聖戦キャンペーンに血道を上げる歴博はどこに向かうのだろうか。

 いずれは、三世紀に中央政権が古墳を全国展開したのなら、遡って、後漢光武帝遣使の倭奴国も管理下にあったと称するのだろうか。わらべ唄のようにずり下がった「しましまパンツ」をずり上げるプロレスラーは、これからは頭が隠れるまでずり上げるのか。
 古墳時代観の低落は、どこで止まるのだろうか。

 それより、地に足のついた、泥臭い考古学考証が必要と思うのである。

                                以上

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