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2020年4月17日 (金)

新・私の本棚 中島 信文 「東洋史が語る真実...」 再訪 付 九章算術、商鞅変法 3/3

*自郡至倭行程
 「郡から倭に至る」は、東南に一条路ですが、自然、東向も南向もあり、時に、つづら折れ登坂で方向感覚を乱されますが、東南方向を裏切りません。

 この行程は、狗邪に至るまで、当然、自明の「陸行」ですが、当然、自明のことは、冗長ですから史書に書かないのです。

 以下、狗邪から先は、「水行」を終え順次陸行が書かれています。

 三度渡海の後、末羅で「陸行」とある以下は、倭官道です。投馬水行とあるのは、行程外の傍路であり、渡船としか確認できません。

 新刊の第三書が届くのが楽しみです。

*参考資料と余談
 以上は、「九章算術」と題された算術例題集から得た知見です。周代以来の例題集を、恐らく後漢期に編纂したようです。史官に必須の教養です。

〇「九章算術」に学ぶ古代の算術 「中国哲学書電子化計劃」による
*方田(田地の求積問題) 
今有田廣一里,從一里。問為田幾何?
答曰:三頃七十五畝。

 幅一里、奥行き一里の方形の面積です。一里は、三百歩であり、面積は九万積歩、つまり、一歩角の正方形九万個分です。前題によれば「畝法二百四十步除之,即畝數。百畝為一頃。」、田地面積の「畝」(ムー)は二百四十歩、百歩一頃(けい)ですから、三百七十五歩、三頃七十五畝となります。

 但し、一歩六尺つまり、1.5㍍程度、一里は四百五十㍍程度です。一積歩は、2.25㎡、一頃は、540㎡、5.4アールとなります。

 周代、百歩を畝とする制度でしたが、秦は、公孫鞅の時、二百四十歩を畝とする独自の土地面積制度を採用しました。始皇帝の全国度量衡統一後も旧制度は各国に残存し、完全に統一されたのは漢武帝時です。(Wikitionary)

*土地制度改革騒動
 「里」、「歩」に連動する「畝」は、土地制度の根幹となる地籍簿に書き込まれているので、「畝」の示す土地の広さが変わるのは、農民を混乱させ、また、土地ごとに課せられる「税」の計算を狂わせるので、地籍簿を改訂するだけで税額を維持すると言っても、一片の命令で改訂はできないのです。

 実行にあたっては、地域ごとに大量の計算官僚を投入して検地、つまり、実測に基づく面積計算を行い、都度農民の同意を得て改訂するので、大変な労力と期間がかかるのです。税の徴収額さえ変わらなければ農民は同意するでしょうが、それでも「検地」は、多くの場合増税を目指したものなので、下手をすると農民叛乱になりかねない大事業なのです。

 このように、里-歩-畝の換算の改訂で畝が変動すると、土地制度が動揺する大事件となるのですが、特に、その困難さが説明されていないようなのでここに追記しています。

*邪田 台形課題
今有邪田,一頭廣三十步,一頭廣四十二步,正從六十四步。問為田幾何?
答曰:九畝一百四十四步。

 「邪田」は斜めというだけで「邪」に悪い意味はないのです。

 下辺三十歩、上辺四十二歩、高さ六十四歩で、面積は下辺上辺を足し高さを掛け.て二で割ります。

 以下、円形、半月形と工夫の要る計算例題が示されています。また、他の科目では、体積問題や高度な按分問題等も提示されます。要は、小中学から、高校程度までの算数/数学問題が、解答、解法と共に書かれていますが、算用数字でなく、小数も無い漢数字縦書きで題意を酌み取るのに苦労します。
 計算術を含む幾何教養は、史官など教養人に必須の教養だったのです。史官が数に弱いと称する諸兄は、本書例題をすらすらと解けるのでしょうか。

〇公孫鞅の変法
 中国は、周代に求積法に始まる高度な算法が普及し、国内田地面積を地籍簿に集積し、各田地には、面積相応に課税し、粛々と収税したのです。

 後進の秦は、紀元前三百五十年、宰相公孫鞅、後の商鞅が国制を革めました。鞅は中原先進の魏で国政改革を図ったが、門閥に属しないため登用されず、転じた後進の秦で重用され、革新的な法制を確立しました。(Wikitionary)

1.父子兄弟の同居を禁じて、戸数を増やし、戸主権威を弱め、戸籍を整備した。
2.全国を県に分け、県令、県丞を置いて、秦王の指示系統を整備した。
3.周制の土地制度を廃し、「新制度」による地籍簿を整備した。
4.度量衡を統一した。後年の始皇帝の全国度量衡統一の基礎である。

 全て、秦律と呼ばれる大部の成文法体系の確立、徹底によります。

                                以上

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