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2020年5月17日 (日)

16. 年已長大 - 読み過ごされた生涯

                       2014/05/06 追記 2020/05/17
「年已長大。無夫婿。」

 ここまでに記した小論を復唱すると、卑彌呼は、(数えで)15,6歳で即位し、魏使来訪の時は、最近18歳を過ぎた(年已長大:すでに成人となった)と云うことになります。

 下記論説によれば、中国史学界では、倭人傳から「わずか十五、六歳の少女卑弥呼を王として」と読み取っていると思われますが、これは、中文としての文意が明解だからだと思われます。

 「倭國と東アジア」 沈 仁安 六興出版 1990年2月発行
 ただし、124ページの以下の記事には驚きました。
 『しかし、長い間、中日両国の史学界では、次のような見方が行われている。即ち、わずか十五、六歳の少女卑弥呼を王として「共立」したのは、「古代の母権社会における女人政治の典型」あるいは「原始的民主制」であり、卑弥呼はシャーマンと開明の「二つの顔」を持つ原始的巫女王であったと思われている。これは、必ずしも倭人伝の原意を正確に理解しているとは言えないであろう。』

 急遽、引用文献として挙げられている石母田正氏の「日本の古代国家」(岩波書店 日本歴史叢書 1971年刊)を購入し、内容を見ましたが、「わずか十五、六歳の少女卑弥呼を王として」と書かれている箇所は発見できませんでした。
 また、見聞の及ぶ限り、日本の史学界で長年行われている見方とは言えないようです。

 むしろ、日本国内の史学界では、卑彌呼は、壮年で倭國王に即位したのであり、国難の際には自ら戦陣に立ち、強いリーダーシップを持っていたものと見ているように思いますが、これは、文献史料に基づく妥当な推定とは思えないのです。
 諸賢には、講談や浪曲の英雄譚が、幼児期や少年期の原体験として刷り込まれているような気がします。

 その一つは、萩民謡「男なら」に歌われた「神功皇后さんの雄々しい姿が鑑」となった、卑彌呼像ではないかと思われます。あるいは、女として母として、徳川政権に果敢に挑んだ「淀殿」(茶)の姿でしょうか。

 以上の読み解きに従って現代語風に書き連ねると、以下のようになります。

 (この年頭で)已に成人(数えで18歳)となった(という)。配偶者はいない
 追記 2020/05/17
 丁寧に説明すると、後代資料である范曄後漢書が、「遅くとも霊帝代に、倭で大乱が起こり、それを収拾するために、当時成人であった卑弥呼を共立したと想定し、卑弥呼の女王時代は、後漢代であった」と語っているため、ここに書いたような若年即位の解釈は、棄てられていますが、慎重に考えれば、後漢書に対して無批判に追従するのは、倭人伝の解釈を後代資料で改竄するものであり、再考の必要があるように感じます。
 また、卑弥呼の壮年即位、君臨は、倭人伝に書かれている人物像ではなく、国内史料などから編み出された古代国家君主像に依存していて、これまた、慎重に考えれば、倭人伝の解釈を数世紀後の別系統の伝承史料の解釈などにより糊塗するものであり、再考の必要があるように感じます。
 どちらの場合も、素人目にも、倭人伝の深意を読み過ごしているものと思われるのです。

 当記事だけでは、論拠を言い尽くせませんが、定説に異議を言い立てるのは、それなりに根拠があってのことと理解いただきたいのです。
以上

 2015年5月16日 補訂

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