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2020年6月24日 (水)

今日の躓き石「纏向遺跡の種 年代測定を巡って」揺らぐ毎日新聞古代史報道の良識 2/3

                              2018/05/28  補充2020/06/24

*不確かさの起源
 大気中の二酸化炭素ガスのC14含有率は、太陽光線に含まれる放射線が大気上層で大気成分を変化させることや火山噴火を含めて、地下から噴出する二酸化炭素ガスやメタンガスなどの炭化水素ガスのC14含有率の影響で、想定から変化するものである。

 ただし、記者が勢い任せで書き飛ばしているように「刻々」目立って変化するというものではない。ちと、錯乱しかけているようにも見えて、不審感に囚われる。記者は、何を懸念して焦っているのだろうか。

 大量の大気のことだから、C14含有率が変化するとしても、大変な時間がかかるのである。一番肝心なのは、測定対象となっている現地の古代の大気のC14含有率の実測データは存在しないのである。

*較正曲線の意義
 と言うことで、別の場所、別の時代の標本で得られたデータの推定手順を参考に、標本のあった場所の時間的な変化を推定し、桃の種が取り出された時点のデータを推定するしかないのである。

*不確かさの意義
 どのような測定データであろうと、一定の「測定誤差」、つまり、「不確かさ」は避けられないが、特に、C14年代測定の場合は、断定的に「測定」と言いつつ、実は推定の二段重ねなので、「不確かさ」は避けられないのである。

*不確かさ悪用の系譜
 これまでの考古学関係の研究成果では、C14年代測定の不確かさを逆手にとって、望ましい結果に向かって、適宜ずらして推定する手法が見られているとの批評が絶えず、この批評を克服できなかったことから、C14年代測定の信頼性を落としていた。

 今回の成果発表は、一転、科学的な信頼性の評価を高めたものである。

*人知を尽くす成果
 今回の測定、つまり、測定データと推定データの組み合わせで年代推定した中村名誉教授は、推定年代が絞り込めない事態を、「ご自身の能力不足、熱意不足の結果とみられるのを忌避してか、歯がゆいとしている」が、ご自身が十分理解しているように、自然科学に神がかりはないのである。測定データは、科学者の熱意に感じて変化するものではない。言い換えれば、測定データは人に騙されないのである。

*冷静な考古学者
 考古学者は、冒頭の方のように不遜なかたばかりでなく、冷静な発言が見られてほっとする。

 また、得られた最新の知見は、「資料批判」を重ねて検証した上で、長年にわたり多数の考古学者によって、広大な時代、地域に及ぶ遺跡、遺物の豊富な考察に基づいて蓄積された考古学の盤石の知見と組み合わせて、古代史の全体像を高めていくことを述べていて、期待するところ大である。(正直言って、何が「古代史の全体像 」なのか、なぜ。「全体像 」を高めることが尊いのか、無知な素人には、皆目わからない)

 素人考えながら、それが、学問の正道ではないだろうか。

                未完

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