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2020年6月27日 (土)

私の本棚 図説検証 原像日本 2 大地に根づく日々 改 1/2

 古代人と神々 水野 正好 (第5段に相当 表記なし) 旺文社 1988年

 私の見立て★☆☆☆☆     2017/02/10 補充再掲 2020/06/27

◯はじめに
 「図説検証原像日本」シリーズは、編集委員として、陳舜臣、門脇禎二、佐原眞と大物を据えた意欲的な取り組みであり、豊富な図版と多くの筆者の論考をを大型本五冊に収容した大著です。
 今回、古書店から購入したとは言え、図版資料としての重要性は絶大です。
 記事部分は担当者の見識で書かれているので、しばしば躓かされます。

*倭人伝談義に異議あり
 ということで、目下関心を持って読み進んでいるのは、古代記事なのですが、当段筆者の古代世界観の一端が、次の段落に明示されています。

 政治を反映する青銅器
 翻って『三国志』の魏志東夷伝倭人条によれば、日本は倭国(わ)、王都は邪馬台国(やまと)とされる。そして、九州の対馬(つしま)・一支(いき)・末廬(まつら)・伊都(いと)・奴(な)・不弥(ふみ)の諸国を統轄し、魏使等と倭国王、王都間の連繋をとる機構として「大率」が置かれている。言うまでもなく邪馬台国は大和であり、大
は後世の太宰府に相当する機構である。こうした倭国の機構に対応する形で、青銅器の世界が展開している。倭国中枢の邪馬台国が直接統轄する範囲に銅鐸が分布し、大率なり率に統轄を委ねている範囲に銅矛が分布するのである。

 つまり、著者は、文献資料である魏志倭人伝の自分流の解釈に合わせて、青銅器の分布を解釈するという態度をとっていますが、これは、考古学者の論考の進め方として、本末転倒でしょう。
 それにしても、著者の脳裏に反映されている「政治」は、どの時代のどの国の言葉なのでしょうか。ちと、粗雑な言い回しです。

 以前、自身が盆栽と化した著者が、資料を丹精して盆栽を仕立てていると揶揄しましたが、本記事もその一例です。「自縄自縛」と言いかけるのですが、少しは、趣(おもむき)のある言い回しを採ったものです。

 倭人伝を持ち出す以上、勝手な解釈を展開すべきではありません。まずは、独善を押しつける「日本」表記です。三世紀当時どころか、はるか後世の八世紀冒頭まで、「日本」は存在しなかったのです。また、当時蛮夷の王は、「王都」と称することを許されてなかったのです。勿論、地理概念の大和も存在せず、青銅器世界の展開も、手前味噌の概念なのです。

*文献史料の操作
 もし、ご自身の学究の手順として、文献を優先・先行させるのなら、各地で出土した青銅器を、先入観のない客観的な目でつぶさに観察、計測、分析したのと同じ客観的な目で文献を読み、科学的な目で史料批判すべきです。

*独自解釈の押しつけ
 古田武彦氏の古典的指摘を確認するまでもなく、倭人伝の倭王の居処は邪馬壹国であり、邪馬台国は後漢書由来です。その国が、僻遠のヤマトという説も有力ですが、九州北部にあったとする有力な学説が存在しています。

 文献解釈が分かれている中、一方にのみ依拠して自分流の解釈に固執し、文献に書かれている文字を自身解釈で書き換え、それに基づいて青銅器に反映されているとする「政治」を説くのは、科学的な態度といえないのです。

 つまり、ここに書かれた自己流倭国構造は一つの仮説であり、不確かな世界観に基づく文献解釈、不安定な仮説に基づいて、青銅器の意義づけを解釈するのは、仮説の正否以前の問題として学問の正しい手順を外れています。

 そのような不適切な論法を、原文献を参照できない一般読者に押しつけるべきではないと思うのです。

                              未完

 古田武彦氏の指摘を確認するまでもなく、倭人伝に書かれている倭国王都は、邪馬壹国であり、邪馬台国と書いているのは、後漢書である。

 

 その国が、僻遠の果てのヤマトにあったという説も有力であるが、一方には、九州北部にあったとする有力な学説が存在している。

 

 そのように文献解釈が分かれている中、一方の解釈にのみ依拠して自分流の解釈に固執し、さらに、明確に文献に書かれている文字を自身の解釈に書き換えて読み取り、それに基づいて青銅器に反映されているとする「政治」を説くのは、考古学者としての科学的な態度といえない

 

 つまり、ここに書かれているような自己流の倭国構造は、あくまで一つの仮説であり、そのような不安定な仮説に基づいて、青銅器の意義づけを解釈するのは、仮説の正否以前の問題として、学問の正しい手順を外れている。まして、そのような不適切な論法を、原文献を参照できない一般読者に押しつけるべきではないと思うのである。

 

未完

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