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2020年6月24日 (水)

今日の躓き石「纏向遺跡の種 年代測定を巡って」揺らぐ毎日新聞古代史報道の良識  3/3

                         2018/05/28 追記 2019/01/29 2020/06/24
*考古学の課題
 素人考えながら、纏向遺跡というものの、このように多数の桃の種を埋蔵していた地中施設と附近の大型建物の関係を見定めることも必要かと思うのである。(追記あり)

*不吉な抱負
 因みに、中村教授の発言として引用されているが、「日本独自のデータが完成すれば、実年代も変わる可能性はある」と問題発言をされている。しかし、科学の不変の真理として、推定は推定である。理屈の上では、「可能性」は無限であるが、蓋然性の極めて低い「可能性」は、単なる雑念であり無視すべきである。

 別の較正曲線が書けたとしても、それはまた一つの別の推定であり、多大な批判、検討に浴するものであり、それによって妥当と認められたとしても、検討の俎上に上ることを許されるだけであって、「完成」などと呼べるはずがない。随分盛大な考え違いである。

 それとも、どこかから、完成目標を与えられて、「完成」するまでは研究成果として認めない、研究費をカットするぞ、と叱咤されているのだろうか。政治経済的な要因は、普通は、表面に出てこないのだが、考古学分野は、普通ではないのだろうか。

*ルール違反の使命
 仮に、較正曲線が、考古学会にとって好ましいように変更されて、それによって別の年代推定ができ、それにより「実年代」の推定値が変わるとしても、後世人の暗闘によって「実年代が変わるはずがない」のである。素人がとやかく言うのも僭越だが、このあたりは、まるで子供の口喧嘩の展開なのである。知性の復活を望むものである。

 時に言わざるを得ないのだが、当分野の学術的研究に投下された費用の由来は、国費や寄附のはずである
 真理の追究に注力せず、保身のために、科学的測定結果を『お化粧』するのに、血道を上げるのは、いかに多数の人員を擁した組織の維持のためとは言え、まことに、不適当なものと思えるのである。

 そして、全国紙が、客観報道の境地を外れて、「ルール違反」に加担しているのを見ると、嘆かわしいと見るものである。

*自然科学者の矜持
 その辺りの言葉遣いが不用意に断定的なのは、「結果至上の人文科学である考古学会の主観的考察の風土に由来する」ものだろうが、自然科学者の発言として、大変不穏当である。

 スポンサーの意を受けて、学会の総力を上げて補正曲線を好ましいところまでずらせば、実年代は当然スポンサーにとって「好ましい」方向にずれる、それは、関係者の努力と熱意次第である、これで終わったと思わず、精一杯頑張ります
と聞こえるのである。

*紙背読み取りの弁

 今回の記事は、総じて、冷静に書かれたものであるが、関係者の発言に、不穏なに響きがあるので、ほってはおけず、「不確かさの意義」に注意頂きたいとしたものである。

 もっとも、紙面からそのように感じ取れるということは、担当記者の真意が行間に隠されたものかも知れないが、科学の世界は、真理に奉仕するものである、と考え、行間どころが、紙背までほじくり出したのである。

                     以上

 追記 2019/01/29
 後日、NHKの纏向史跡の発掘現場取材番組で、桃種発見の様子が窺えたが、確かに地下の「ゴミ捨て場」から発掘されたというものの、広く散在していたようであり、三千個近い数の聖なる桃種を、たった一度の祭礼のために広く周辺の桃農園(?)から調達し、一気に地下に廃棄したとは考えにくいことに気づかされた。
 それにしても、桃栗三年というものの、果樹は、数が取れるまでに何年もかかるのであり、どのような政策で、数千に及ぶ桃を得られたのか、感嘆するしかないのである。別記事あり)

 銅鐸の廃棄遺物と同様に、同遺跡敷地の地鎮祭のおりに、旧態の祭礼を廃するために、しかるべき場所に収納されていた歴年の祭物を、まとめて除霊投棄したとも見えるのではないかと思量した。

 正しかるべき年代鑑定が、想定から大きく外れた、と見えるのは、そのような原因によるものかとも思われるので、ここに追記した。

 凡そ、善良な研究者たるもの、「七度探して他人を疑え」ではないか。

追記終わり

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