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2020年6月18日 (木)

私の本棚 6 上垣外 憲一 倭人と韓国人 改  1/3

 講談社学術文庫2003年 2014/05/21 分割再掲 2020/06/17
 私の見立て☆☆☆☆☆ 滅ぼされるべき妄説   以外★★★☆☆

◯はじめに
 本書は、タイトルが示唆しているように、倭人伝時代が描かれていて、大変参考になる良書で、全体に堅実な論議が提示されていて、特に異論はないのですが、遺憾ながら、「生口」論は、史料の恣意に満ちた解釈で勝手放題の風評を醸しているので、断然異議を唱えるものです。

 本論筆者は、「生口」について先人諸賢の意見を徴していますが、この著者は、最初から、生口則ち奴隷と決めつけていて参考にならないのです。

 それに加えて、生口を献じた理由として、当時の交易の主力を為すものであったから、倭國が後漢に献上したのだとしています。正当な疑問は、何を根拠として、そうした仮説を言い立てるのかと言うことです。私見では、学術的な検証無しに、先入観によって決め込んでいるように思えるのです。

 以下、本論筆者の乏しい見識を総動員して、倭国の「奴隷」献上が、実現可能な「難事業」であったか、それとも、実現不可能な「不可能事業」であったか、吟味を試み、諸賢の批判を仰ぐものです。

▄鉄青銅論
 と言うことで、本書21ページの小見出し「鉄の道、青銅の道」に始まる議論に承服しがたいものを感じます。

*夢想の輸出統計
 ここで、著者は、「日本側の最大の輸出品目は、残念ながら奴隷であったとしか考えようがないのです」物知りぶって断じています。何が残念なのでしょうか。一度、鏡を眺めてほしいものです。こんな妄想を書き立てた「残念な」やつの顔が見たいと。

 著者は、当時の貿易統計でもお持ちのようですが、できれば、輸出品目上位五位まで開示いただければ幸いです。言うまでもなく、開示できなければ根拠なき言いがかりによる冤罪、誣告の大罪と言わざるを得ません。

 ダメ押しですが、冤罪を言い立てるのは、それ自体犯罪です。困った虚言癖です。

*安直な後漢書解読
 その根拠として、まずは、後漢書倭伝「安帝永初元年、倭國王帥升等獻生口百六十人、願請見」を上げていますが、妥当な根拠と思えないのです。

 この記事は、西暦一世紀の時代、倭は、すでにこれだけの生口を引き連れた使節団を派遣できる航海力を保持していたという仮説が著者の学説の基底を成すものですが、史料批判された形跡がありません。

*倭人伝解読の錯誤
 続いて、魏志倭人伝の生口記事です。壹与の貢献は、「獻上男女生口三十人、貢白珠五千、孔青大句珠二枚、異文雜錦二十匹」と書かれています。

 著者は、賢そうに、生口三十人が重要で、他の貢物は添え物と独断していますが、そのような相対評価の根拠史料は、一切示されていません。

 著者は、史料に依拠して順当な仮説を提示しているつもりでしょうが、素人目には、無根拠の虚言の羅列と見えます。

*不可解な鉄通貨論
 「奴隷輸出」は、弁辰産鉄の輸入対価と想定しているようですが、鉄は通貨(銭)のように通貨扱いされたのであり、通貨買い付けの対価にはあり得ないと知るべきです。例えば、食料や食塩と交換されたと思われるのです。

 採掘は、帯方郡による官営事業であり、街道陸送の維持に努めたものと思われるのです。でなければ、弁辰の財力が韓地の天下を取っていたはずです。

 ここでも、史料批判のない、憶測が一人歩きしています。

 何事も、後世「素人」感覚で割り切るべきではないように思うのです。

                                  未完

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