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2020年6月 3日 (水)

新・私の本棚 丸地 三郎 魏志倭人伝の検証に基づく邪馬台国の位置比定  2/2

 魏の使節は帆船で博多湾に 2012年6月         2020/06/03

*両島の繁栄
 両島は、農産物不足を南北運送の船賃や関税で補い潤っていたはずです。
 因みに、島民が身売りして食糧を得たなる妄想を述べる「大愚者」がいますが、人を売って食を得ると、早晩、両島は年寄りの廃墟となるのは、子供でもわかります。両島が荒廃すれば行船は寄港地を失い交易は途絶します。
 そうした成り行きを想定するとは、両島関係者は、随分見くびられたものです。古代史の俗説でも、極めつきの妄説ですが、恥知らずにも、現地講演でぶちまける人がいたのです。

⑵「野性号」の成果と限界
 「野生号」ならぬ「野性号」は、船体吸湿で重量が増えて難航したようですが、本来、渡し舟はそれに相応しい軽量です。漕ぎ渡れなければ不採用なので、無用の重装はあり得ません。何しろ、実験航海は、単に目的地に着けると実証すれば良いのでなく、実用に十分な荷物や乗客が運べることも、実証するものだったはずです。
 そもそも、実験航海難航は、漕ぎ詰めの疲労の要素も大きいと思われるのです。それは容易に予測できることであり、なぜ、空前絶後の大航海の実証を企てたのか、意図不明と言わざるを得ないのです。

 時代相当の配慮をすれば、渡し舟区間で別々に相応の船腹とし、適宜、漕ぎ手交代すれば、長年に亘り維持できるのです。
 いや、当時、倭人伝に記録されているように、盛んに南北乗船して市糴していたと言う事は、実験航海しなくても明白であり、曰わく言いがたい感想に囚われます。

 氏は、「野性号」報告が粉飾と感じたようですが、素人目には、関係者の志しを守るために、失敗発言を避けていますが、「実際には、このような航行は維持できない」との真意を秘めつつ報告したものと見えます。
 それを、「為せば成る」と勝手読みして、倭人伝論に採り入れるのは、俗耳の聞き違いですが、誰も正さないので、このように、報告粉飾に責任が回るのです。

⑶道里論 用語の整理
 倭人伝の里数と日数は表現を工夫が必要です。現代人は「距離」は「直線距離」と決めつけて、道里、道の里の意義が取り違えられているから、論議がかみ合わないのです。用語の時代錯誤は、論者にとって自滅行為です。

*道里の起源推定
 書かれている道里、二点間里数は、郡国志や地理志の公文書用公式数字であり、必ずしも実測と言い切れないから、実測値復元は無効です。

 まずは、全体道里「万二千里」は、郡が、公孫氏からの両郡回復早々に、疾駆参内を命じた未見未知の倭都への道里を、途方もなく遠い万二千里と洛陽鴻廬に申告したものであり、やって来た使節から、郡の南方拠点狗邪韓国から海を跨いですぐそこと知らされ、申告を訂正することはできず、辻褄合わせに苦労した「成果」と見られるのです。

〇概数論再論
*「余」の効用
 後代感覚で、道里、戸数の「余」は、切捨端数付きと誤解して、足すたびに端数が積もる妄想が広がります。不合理ではないとか疑うべきです。
 端的に言うと、みな概数中心値で、端数蓄積を考える必要はありません。

*概数の範囲
 倭地内行程は、百里単位で余がないが、精測したのではありません。全体道里で、百里単位は影響しないのです。まして、傍路諸國への里数に関心はないのです。

 ご一考いただきたい。七千里と三千里の足し算で、百里単位は計算結果に影響しない端数です。
 七千里に五百里足しても七千里であり、更に六百里足しても七千里です。
 七千里は上下十パーセント範囲どころか、五千里と九千里とも思える漠然たる範囲で、百里単位の端数は大海の一滴です。
 七千里付近の五千、六千、八千、九千里がないから、そのようにとてつもなく広い範囲と見ます。

 実際の道里や戸数がわからないから、覚悟を決めて概数表示していますから、実情を知らない後世人が、史料の字面、倒立実像を見て、勝手に上下限界を想定するというのは、とてつもなく不合理なのです。

〇まとめ
 氏の取材範囲は豊富ですが、得られた新規史料の時代考証、史料批判が不足し、考察が迷走する点が多々見られます。もったいないことです。
                                以上

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