« 陳壽(中国史)小論- 4 (2013) 食い物のうらみ | トップページ | 陳壽(中国史)小論- 6 (2013) 年長大 »

2020年6月 5日 (金)

陳壽(中国史)小論- 5 (2013) 女子王

                              2013/09/19 確認 2020/06/05 2022/06/08  
〇女王国の由来
 陳壽の面白みについて、次の例を挙げます。
 魏志倭人傳は、この国「倭人」が女王国となった経緯と初代女王の人となりが述べられています。

 「乃共立一女子爲王名曰卑彌呼(-6字略-)年已長大無夫婿」
 案ずるに、元来、倭国は統一国家でない国家連合とはいえ、国の数で言えば小規模な村落国家と思われます。
 国家連合の盟主として男性の王を担いでいたら、あるとき国同士の喧嘩が収まらなくなった。卑彌呼という名の若い娘(一女子)を王に立てたところ、みんな仲良くなった。女王は、成年(十八歳)になった(年長大)。女王故に配偶者(夫婿)を持たない。
 政治を担当しているのは男弟である。女王は、人と会見することはほとんどない。

*「女子」の自然な解釈
 今回の私の読み解きは、一般的な理解と異なっています。
 当ブログ記事の発端は、ごく最近「一女子」が若い娘ではないかと思いついたことにあります。
 この意見の先例を調べたところ、随分以前に木佐敬久氏が、添付資料に出てくる対談で提示しているとわかりました。明らかに前例のある意見と言うことです。
 一般には、魏志倭人傳の記事で「一女子」は、成人女性と解されています。しかし、それなら婦人など別の言い方があります。ここは、素直に「女の子」と解したらいいのではないでしょうか。
 さらに年少なら「女児」「女孩」とか言いそうなものです。

 中国では、伝統的に18歳成年(数え)であり、中国語で年齢を形容するときには、これに従ったであろうということで、「一女子」の年齢は15歳程度(数え)となるのではではないでしょうか。

 因みに、若干ややこしいのは、中国語で「男子」と言うときは、伝統的に成人男性を指すことが多く、「女子」「男子」と対になっていても、簡単に類推できないのです。

 私が、共立時の卑弥呼を若い娘と見たのは、一呼吸置いた直後の「已年長大」との関連です。

*「長大」の自然な解釈
 「長大」は、幼いものが長じて(年齢を加えて)大(大人)になる意味ではないのかと、ある日思いついたのです。そう思って、魏志倭人傳を読み直して、直前の「一女子」に引っかかったのが、実際の検討手順です。

 「長大」論議が続きます。

以上

« 陳壽(中国史)小論- 4 (2013) 食い物のうらみ | トップページ | 陳壽(中国史)小論- 6 (2013) 年長大 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 陳壽(中国史)小論- 5 (2013) 女子王:

« 陳壽(中国史)小論- 4 (2013) 食い物のうらみ | トップページ | 陳壽(中国史)小論- 6 (2013) 年長大 »

お気に入ったらブログランキングに投票してください


2025年5月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

カテゴリー

  • YouTube賞賛と批判
    いつもお世話になっているYouTubeの馬鹿馬鹿しい、間違った著作権管理に関するものです。
  • ファンタジー
    思いつきの仮説です。いかなる効用を保証するものでもありません。
  • フィクション
    思いつきの創作です。論考ではありませんが、「ウソ」ではありません。
  • 今日の躓き石
    権威あるメディアの不適切な言葉遣いを,きつくたしなめるものです。独善の「リベンジ」断固撲滅運動展開中。
  • 倭人伝の散歩道稿
    「魏志倭人伝」に関する覚え書きです。
  • 倭人伝道里行程について
    「魏志倭人伝」の郡から倭までの道里と行程について考えています
  • 倭人伝随想
    倭人伝に関する随想のまとめ書きです。
  • 動画撮影記
    動画撮影の裏話です。(希少)
  • 卑弥呼の墓
    倭人伝に明記されている「径百歩」に関する論義です
  • 古賀達也の洛中洛外日記
    古田史学の会事務局長古賀達也氏のブログ記事に関する寸評です
  • 名付けの話
    ネーミングに関係する話です。(希少)
  • 囲碁の世界
    囲碁の世界に関わる話題です。(希少)
  • 季刊 邪馬台国
    四十年を越えて着実に刊行を続けている「日本列島」古代史専門の史学誌です。
  • 将棋雑談
    将棋の世界に関わる話題です。
  • 後漢書批判
    不朽の名著 范曄「後漢書」の批判という無謀な試みです。
  • 新・私の本棚
    私の本棚の新展開です。主として、商用出版された『書籍』書評ですが、サイト記事の批評も登場します。
  • 歴博談議
    国立歴史民俗博物館(通称:歴博)は、広大な歴史学・考古学・民俗学研究機関です。「魏志倭人伝」および関連資料限定です。
  • 歴史人物談義
    主として古代史談義です。
  • 毎日新聞 歴史記事批判
    毎日新聞夕刊の歴史記事の不都合を批判したものです。「歴史の鍵穴」「今どきの歴史」の連載が大半
  • 百済祢軍墓誌談義
    百済祢軍墓誌に関する記事です
  • 私の本棚
    主として古代史に関する書籍・雑誌記事・テレビ番組の個人的な読後感想です。
  • 纒向学研究センター
    纒向学研究センターを「推し」ている産経新聞報道が大半です
  • 西域伝の新展開
    正史西域伝解釈での誤解を是正するものです。恐らく、世界初の丁寧な解釈です。
  • 資料倉庫
    主として、古代史関係資料の書庫です。
  • 邪馬台国・奇跡の解法
    サイト記事 『伊作 「邪馬台国・奇跡の解法」』を紹介するものです
  • 隋書俀国伝談義
    隋代の遣使記事について考察します
  • NHK歴史番組批判
    近年、偏向が目だつ「公共放送」古代史番組の論理的な批判です。
無料ブログはココログ