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2020年7月28日 (火)

今日の躓き石 毎日新聞 名人戦観戦記の反社会的タイトル 「マスクはいらない」

                             2020/07/28

 今回の題材は、毎日新聞に掲載されている将棋名人戦の観戦記である。
 第78期名人戦七番勝負 豊島将之名人-挑戦者・渡辺明王将 第3局の8

 今回の苦言の原点を確認すると、観戦記とは、事実の報道でなく観戦記者の著作物なのだろうか、ということである。文学作品、創作であれば、多少の気ままは許されると思うのであるが、事実の報道なら、報道としての節度が求められるはずである。

 後に示すように、前日の観戦記のタイトルもひどかったが、今回は、「マスクはいらない」と反社会的な物になっている。
 現下の情勢は、ウィルスの感染拡大防止のため、例外のないマスク着用が義務化していて、これに対して、毎日新聞が堂々とマスクなどいらないと宣言するのは、どうした物だろうか。しゃれのめすなら、合衆国やブラジルの大統領を気取っているようにも見える。

 さらにひどいのは、文中で「思考の邪魔、つけてらんない!2人とも息苦しさから逃れて盤上に集中した」と両者の内心を勝手に代弁していることである。いや、観戦記者が両者にインタビューしてそうした主旨の意見を聞き取ったとしても、両者が報道機関に対して発言するときには慎重に言葉を選んだはずである。想像するのだが、両対局者が、マスクを外したことについて問われたら、「マスクが必要な主旨は理解しているが、マスクに湿気と熱気が籠もり、呼吸の妨げ、ひいては思考の妨げになるのでは、一時的に外さざるを得なかったことを、よろしくご容赦ください」と言ったはずである。ここに引用されているのは、仮に正確な引用としても、精々が子供じみた我が儘の口移しであり、高度な観戦記を求めて講読している読者の目に触れるべき物ではない。

 この点は、何にしろ主催者の配慮の限界と思う。マスク以外の何らかの手段で、このようなな息苦しさを、極力緩和できないか、最善の努力を図ったはずが、良策が見つからなかったようである。因みに、NHK棋戦では、設営に制約の少ない自局スタジオということもあって、両対局者の間に、上から隔離板を下ろしていると見受けた。名人戦会場では無理と思うが参考に述べておく。

 手段が何にしろ、隔離手段が両者に与える影響は公平であるから、思考を制約されることは、両者ともに受容すると思われる。まして、将棋界が、最高峰の棋戦で最善の配慮を行っていることは、ネット中継で公開されているから、最善の努力は最善の評価で報われているはずである。

 このような背景を考えると、今回の観戦記で示された配慮の無い暴言は、一新聞社の一観戦記者の分を越えて、将棋界全体に暗雲を醸し出すものであり、まことに不穏である。
 毎日新聞社は、将棋界の財産である「名人戦」に対して、社会的な非難が集中するリスクをどう考えているのだろうか。

 因みに、前回の見出しは、「名人が「ソフト化」」であり、意味不明なものの、記事を読むと、名人の指手の筋悪化を糾弾したもののようであり、将棋界最高タイトルの保持者に対して、「神」の如き不敗の高みから堂々と見下して、一切反論を許さない非難を浴びせていて、一読者として大変不快であった。まして、「ソフト化」などと、日本語として意味不明な見出しを善良な一般読者に投げつける手際は拙劣である。

 思い返すと、この観戦記者は、しばしば高級な暴言を書き殴る人である。ただし、影響が将棋界にとどまるなら、その世間で顰蹙を買えば良いのであり、当ブログで指摘したことはあっても、大きな問題でないと見ていたものである。

 それにしても、毎日新聞には、紙面を精査して、不穏当な字句を、穏当な字句に書き替えさせる校閲が存在しないのかと、歎くものである。

以上

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