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2020年9月23日 (水)

新・私の本棚 河村哲夫 講座【西日本古代通史】「邪馬台国論争のいま」2/2

 アイ&カルチャ天神 講座【西日本古代通史】資料平成26年8月5日

⑴邪馬台国か邪馬壱国か  承前
④「邪馬壱国」と記しているのは、いずれも十二世紀以降の文献ばかり
コメント 刊本、つまり、木版出版は南宋期以降であり、それ以前は写本継承であるから、「十二世紀以降の文献」と決め付けるのは誤解である。

⑤「臺(台)」は神聖至高の文字ではない
陳寿の『三国志』にも、牢獄とか、死体置き場といった意味で「臺」の字が使われている。魏から見て敵国に当たる呉の国の君主孫権の父親である孫堅のあざなは「文臺」である。神聖な文字を、死体置き場や敵国の人間の表記に使ってもよいが、未開の友好国に使ってはいけないというルールは見当たらない。
コメント 当時の「ルール」は、史書などに一切書き残されていないから、見当たらなくても不思議はない。
 三国志と大雑把に指摘しているが、東呉創業者孫堅を記録しているのは、東呉の史官が書き、陳寿が用語に干渉しなかった「呉書」による「呉志」で「魏志」ではない。また、地方首長が字を名乗るとき、古典書典籍も含めて、その時点での自身の見識で選んだのであり、存在しない魏朝が後世定めたと思われる貴字を回避する理由はない。何かの勘違いであろう。論拠にならない。
 それ以外の指摘は、文献考証の鉄則に従い、個々の当該文字用例の出現場所と文脈(前後関係)で判断すべきである。(時間と労力を要する作業である)
 魏は、天下唯一の正統政権であって、呉は、叛賊に過ぎず、「国」ではなく、まして、魏と対等の「敵」ではない。「敵国」と称するのは、古代史学に相応しくないし、「友好国」と称するのも、時代錯誤の世界観と見える。氏の本領ではないので、素人めいた言葉遣いに陥っていると見える。(講演を行うなら、聴衆への責任があるので、誰かにダメ出しして貰うべきではないだろうかと愚考する)
 本項で言うと、確かに、「神聖至高」は、誰が言い出した知らないが、素人目にも言いすぎであり、また、三国志全体で通用とは言えないものだし、古田氏も、そのような主張はしていないはずである。お互いに、枝葉末節を力んで論議するのは、学問の本筋を外れているように見える。

⑤結論:以上より「邪馬臺国」が正しい。
コメント 主張を列記したが、論証になっていないので、ここで飛躍して「以上より」で結論に結びつけるのは、余りに性急である。

それを現在は簡略文字で「邪馬台国」と表記している。

コメント 「現在」とは、古代史界の大勢を言うのだろうが、論証がなくてもそのように表記していること自体は自明である。氏は、それが、妥当かどうか検証したかったと思われるが、以下述べるように、それは不要と思う。

〇まとめ
 と言う事で、当ブログ筆者は、素人なりの見識と知識を駆使して、河村氏の論証を追尾し、反論して時間と労力を費やしたのです。

〇論争停戦の勧め
 古代史分野は、倭人伝二千文字の中の壱文字の話題で随分盛り上がるのですが、ここにあげられているような、無意味な根拠で力説するのは、氏の古代史に関する見識に疑念を投げかけるものであり、随分勿体ないと思います。(俗な言い方をすると、余計なことを言うと信用をなくすよ、と言う事です。下手すると、論争相手の失笑を買うことになりかねないものです)
 氏ほどの学識であれば、この話題は飛ばして【本講演は、「邪馬台国」(略字)で進める】と「宣言」するのが好ましいように思います。「ここだけ宣言」すれば、国名論議がなくなるので、聴衆も随分気が楽になります。

                                以上

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