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2020年9月28日 (月)

新・私の本棚 季刊邪馬台国 136号 笛木良三 「魏志倭人伝は本当に短里..」三次稿 1/1

 「魏志倭人伝は本当に短里で書かれているのか?」 2019/07刊行

私の見立て ★★★☆☆ 不毛の論争の朴訥な回顧 2019/07/11 2020/04/06, 09/28改訂

〇愚問愚答
 本誌一九八八年春号「里程の謎」は「古典」であり、掲題は愚直です。
 三国志に、はなから「短里」なる用語と概念は存在しないから、『三国志に「短里」はなかった』のです。史学論文は、用語錯誤に注意すべきです。
 このような批判は、掲載に際し論文審査されていると信じるからです。論者も十分な見識を有し、率直な指摘に耐えるとみました。

*無駄なおさらい
 古田武彦氏創唱「魏晋朝短里説」論議は先行論文参照で事足ります。紙数の無駄は悪しき先例となります。本誌131号掲載の受賞論文、塩田泰弘氏の「魏志が辿った邪馬台国への径と国々」の広範で確実な論考を参照しないのは不用意です。学術論文は先行論文を克服すべきです。重ね重ね不用意です。

*見過ごされた「宣言」
 ここで、肝心なのは、倭人伝記事を読み違えているのです。
 「韓人、倭人は中国本土と異なる里数を使用し」の要約は、多重錯誤です。「里数」でなく「里」の論議なのです。また、「中国本土の里」、つまり、普通里の里数と六倍程度異なる里数を提示したのは、諸韓国や倭人の者でなく帯方郡の者です。夷蕃は官制を知らないのです。不用意な用語選択です。
 氏は、「地域里」の但し書きが無いと速断しますが、現に「帯方郡から狗邪韓国まで七千里」と「宣言」が明記/示唆されていて、軽率です。
 陳寿は、倭人伝編纂時、普通里でない里数を採用せざるを得ず、後世検証できるように「宣言」したと解するのが、後世読者の務めと感じます。明白な宣言を見過ごして三国志本文の雑記事をもとに泥仕合したから、掲題設問に三十年を経て解答が出せていないと思量します。

*図の錯解
 以下、意義不明の「図」の概念で論じますが、「図」は非論理的で、読者の感性に向けて、自身の幻想を押しつけるものなので、論拠になりません。
 ただし、機械製図のように、一定の規則に沿って作図解釈される「図」は、規則を学べば一意的解釈が成立し、論拠たりえますが、それは例外です。
 論者は、根拠無く、三世紀の陳寿が見た「世界図」を論じますが、全て論者の脳内図式であり、第三者に何の意味も無い夢物語は、紙数の無駄です。

*迷走の果て
 最後に、論者は、我に返って、史料を直視しますが、史料が読み解けないと、長々と夢想にふけったことの反省があるのかどうか。

 結局、論者は史料を直視せず、他人の意見を丸呑みしています。陳寿が明示した「帯方郡から狗邪韓国まで七千里」の「原器」を渡海一千里で曲げています。渡海は本来日数勘定で実距離と連動しないと見定めたのを忽然と抛棄します。そのような右顧左眄の論証は信用できません。

 また、実測でない、不確かな「里数」に高精度計算を施すのは、時代錯誤です。不確かな数値は不確かなまま扱うのが「合理的」、「科学的」です。

*まとめ
 すべて読み通して、合理的な推論手順を外れた、何十年の堂々巡りが実績として浮かびます。正解を得られないと証された不毛な論議は捨てるべきです。「本当に」などと、空疎な常套句に貴重なタイトルの三文字を空費している余裕などないはずです。

                               以上

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