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2020年10月28日 (水)

新・私の本棚 サイト記事「水行20日、水行10日陸行1月の呪縛」公開コメント 3 1/1

 私の見立て ★★★★☆ 意欲的な史料批判の失敗  2020/10/28

 59.漢文の解釈 

〇非商用ブログサイト批判の弁
 同ブログサイト筆者KATS-I氏は、当記事の論述にあたり、中国史料の原文を引用した上で、意義を解釈し論考しているので、読者コメントを希望しているものと解して、氏の課題取組みの姿勢に大いに賛同するものの、ここに、論考の不合理を指摘する趣旨で、当ブログ筆者の意見を公開コメントします。
 批判は非難でなく、率直、誠実な批判は耳に痛いのもご承知と思うので、よろしく、ご理解の上、審議戴きたい。

〇総評
 冒頭に以下趣旨のご託宣がありますが、端的に言うと、自覚症状をご存じないのかと思われるので指摘します。
 曰「正史の漢文解釈では、字句の丁寧な吟味で、初めて真意を理解できます」
 それは周知事項であり、ここで、今さら、ことさら声を大にする意図が不明です。

 その後、本文として、倭人伝から引用したと思われる、次の白文が論じられます。
 「女王國東渡海千餘里復有國皆倭種又有侏儒國在其南人長三四尺去女王四千餘里又有裸國黑齒國復在其東南船行一年可至

 ところが、いきなり、出所不明の句点、改行、分かち書きが根拠不明で導入され、目が回ります。以下、行数、字数を費やして、滔々と論じていますが、いくら眺めても、勘違いと早とちり連発の記事であり、とても見過ごせません。
 とはいえ、ご託宣から脱線、暴走していては、何とも是正困難です。

 ただし、以下の異議はあくまで異議であり、「論旨を理解いただいた上で」反論なり、無視なりお好きなようにと言う事です。

*先覚者罵倒の悪癖
 従来の句点処理とそれに基づく解釈は、多数の先哲が検証確立したものであり、一個人の勝手な理屈で、一気に覆せるものではありません。
女王國東渡海千餘里復有國皆倭種
又有侏儒國在其南人長三四尺去女王四千餘里
又有裸國黑齒國復在其東南船行一年可至
     以上、改行追加のみ
 
*棄却の弁
 次の点から、当記事は、倭人伝里制解釈に不適当として棄却しました。
⒈ 又有 侏儒國    在其南  去女王四千餘里 (人長三四尺を除く)
  又有 裸國黑齒國 復在其東南  船行一年可至
 二条は、そのままでピッタリ対応していて、氏の早計誤解と思われます。

 「侏儒國去女王四千餘里」は、侏儒国が女王を去る四千里と名文です。
  直前の其国が不確定なので必須なのです。侏儒国が見つかれば其の東南が決着します。
  (四千余里も一年も、伝聞、風評、ホラ話の類いでしょう)
⒉ 後世史料によって先行史料「倭人伝」を批判するのは、常に不合理です。

⒊ 道里記事末尾のどんでん返しは、確実に読者の憤激を買い「馘首」です。

⒋ 思い付きの「一里55㍍程度との予断」に向ける強弁は、無理、無謀です。
  これほどアラだらけでは、持論補強にならないのでは、言わずもがなです。

〇史料、先行論議無視の不満 再説
 倭人伝里程論では常識ですが、古代中国では、出土の「尺」を規準とした一歩六尺。一里三百歩とした「普通里」(四百~五百㍍)が周代創始の大原則で、「倭人伝独自里」説は、よほど、主張の根拠を固めねばなりません。

 中国史書は、継続して書き継がれているので、勝手な思い付きを言い立てる前に、先賢諸氏の論考も参照した上で、全体を見て論考すべきです。

 当ブログ筆者の論法は、別記事で示しています。
                               以上

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