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2020年11月22日 (日)

今日の躓き石 巨人軍の汚名 「リベンジ」の返り討ち 毎日新聞の報道姿勢を問う

                   2020/11/22

 本稿の批判の直接の的は、毎日新聞大阪朝刊第13版スポーツ面の日本シリーズ戦評の署名記事ですが、前日の民放テレビの中継画面でも、右上に長々と座っていたので、これは、ジャイアンツがプロ野球球団として、広報しているものかと見えるので、タイトルに曝したものです。もし、球団の本意に反して、両媒体が報道しているのであれば、厳重に抗議して撤回させるべきものでしょう。

 まずは、「リベンジ」なるカタカナ語に関して、長年全国民の尊敬を集めてきた全国紙の取扱が、余りに不注意だという事です。

 プロ野球界では、松坂大輔選手の高言以来、「再挑戦」の軽い意味が広がり、近年では、高校野球の指導者まで気軽に口にしているようですが、カタカナ語の原語に戻ると、大変不穏当な言葉であり、逆翻訳して英語で喋ると、大変な顰蹙を巻き起こすものです。例えば、菅野投手がメジャー入りして、インタビューで口にすれば、非難囂々で、社会的制裁まで行かなくても、長く、身の置き場がなくなることも考えられます。

 民放テレビも、毎日新聞も、そろって誤解しているのは、プロ野球選手が口にする「リベンジ」は、いわば「松坂語」で、前回やられたから再挑戦する主旨であり、決して、「やられたからやり返す、恨みで血祭りに上げる」という古くさい意味ではないのです。
 まして、スポーツの試合で負けたからと言って、個人的に恨みに思って、仇討ちに行くものではないです。そんな独りよがりが称えられるはずはないのです。

 つまり、巨人軍のチームとして、あるいは、特定の選手として、前回惨敗した相手に再挑戦するのが、即ち「リベンジ」であり、既に達成されているのです。後は、勝利を目指して全力で闘うだけでいいのです。

 ところが、毎日新聞は、選手の本意に気づかず、いわば、軽薄な思い込みで、とんでもない勘違いの「リベンジ」を書き立てています。これでは、読者から、毎日新聞は、正しい言葉を知らないと侮られるだけです。
 加えて、でかでかと「返り討ち」などと暴言を見出しにしています。この言葉は、江戸時代の武家のならいで、仇討ち免許を持って、私闘で無く公認の堂々たる戦いを挑戦してきた相手を、これまた、堂々と向かい撃って斬り殺すことを言うのであり、それで、罪科を免ぜられ、無罪放免になるものです。
 何とも古くさい社会制度で、明治維新の後、しばらくして、近代法制の理念に反するものとして、廃止されたものですから、百五十年も前に葬り去られたのですが、毎日新聞記者は、時代錯誤にお構いなしに言い立てるのです。困ったものです。なぜ、編集段階で誰も止めなかったのでしょうか。スポーツ面は、この程度の放言でいいというなら、読者は、随分なめられたものです。

 それにしても、毎日新聞記者は、何を自身の信条にして生きているのでしょうか。選手の汚れた言葉遣いを正すわけでも無く、プロ野球界に残る血なまぐさい言い回しを正すわけでも無く、ひたすら、負の遺産を讃えているのはまことに残念です。

 当記事をしめないといけないのですが、毎日新聞社には、全国紙としての矜持は無いのでしょうか。民放テレビ中継と同水準の品位でいいのでしょうか。

以上

 

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