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2020年11月10日 (火)

倭人伝随想 15 倭人伝道里の話 短里説の終着駅 2/6 再掲

                                                       2019/02/27 表現調整 2020/11/10

*『曹魏短里』論争
 本説を広く宣言したのは古田武彦氏であり、『「邪馬台国」はなかった』において明言し、三国志全体の里数記事用例を対象に、普通里か、短里かの検証を進めた成果として、『曹魏短里』が証されたとの論議を展開しました。
 
 これに対して、古田氏の用例解釈に反駁し、『曹魏短里』はなかったとの議論が提起され、大変活発な論議が行われましたが、三国志全用例から当否を証する試みは、いまだ進行中と見えます。
 
 素人目には、短里制度を確実に支持すると見られる用例は少なく、全国制度として施行されたとするには根拠薄弱と見られますが、一方、全面的に否定はできないとの論があり、あたかも、レジェンドと化して博物館入りした「臺壹」争いの再現ですが、攻防が逆転し、論法だけは類似しているのが、奇観を呈しています。

*『曹魏短里』制度
 用例論争に比べて不活発ですが、魏の全国制度として、短里が施行されたという証拠となる帝詔などが、三国志魏書に明記されていないことが、『曹魏短里』の支持されない有力な理由となっています。

 古田氏は、初代皇帝文帝曹丕が、後漢献帝から国を譲り受けた際に、国家としての「礼」を、切り替える帝詔を発したことを引いて、里制は礼の一部であるから、それにより当然周制に復帰したと解釈しているのです。⑹
 
 「解釈」と言わざるを得ないのは、里制が「礼」の一部とする明確な定義が見当たらず、また、従来の普通里を短里にすると明記されてないことにあります。

 また、文帝は、後漢の復興、継承にあたったと評されていて、三国鼎立の臨戦体制で、社会構造の変革を引き起こす里制変更には想到しなかったと見られることから、古田氏提唱の曹丕改訂は否定的に見られています。

*景初改革
 続くのが、二代皇帝明帝曹叡の「景初暦」改定です。

 明帝は、後漢朝遺風の継承に反対で、魏朝礼制、暦制の創始、確立を指示し、景初暦採用の際は、礼制一新の帝詔を発しています。

 依然戦時下ながら断行した景初改暦と礼制改定は、国家大綱を改革する「景初維新」の大事業であり、その一環として、里制変更が行われたと推定するのが景初里制説です。

 しかし、裴松之の付注(裴注)は、明帝の布令を補足する際に、「文帝の遺制を廃して、殷の暦を用い、殷と同様に建丑の月を正月とし、犠牲や旗に使用する色は、すべて殷の礼を用いた」と「礼記」を参照しながら、それ以外については一切言及していないのです。つまり、明帝の布令は、里制の変更なる一大事に触れていないのです。
 

 景初年間は、遼東に割拠した公孫氏を討滅し、天朝の威光を東夷に及ぼした画期的時期であり、里制改定の大事業に相応しいように見えますが、それほど画期的な一大事が三国志魏書に明記されていないという克服しがたい難点があります。
 
 また、明帝の景初改革は、二年後の明帝早世によって終焉し、景初暦、並びに、宮殿造営が撤回された所からも明帝自身明言していない里制変更が、曹魏後継皇帝や司馬晋皇帝によって補追完成されたと見るのは、困難(不可能)です。

*曹魏短里説の終熄
 曹魏短里制度は、実施を証することができず、従って、潔く撤回されるべきです。

                               未完

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