倭人伝随想 15 倭人伝道里の話 短里説の終着駅 4/6 再掲
2019/02/27 表現調整 2020/11/10
□文献解釈編 晋書地理志
ここでは、主として、晋書地理志所収の司馬法に規定が書かれている、周制に始まり魏朝に至る里制について考察します。
当記事の一部として創作した概念図から、まず見て取れるのは、周制の単位系が、一尺25センチ程度の「尺」から、天子の領地にあたる一辺一千里の「畿」まで、ハシゴ段(階梯)に欠けがないよう、十倍、百倍で続いているのです。(井、里の下で三倍、九倍になっていますが、事情あってのことです)
丁寧に追いかけると、里から尺に下る単位系と里から畿に上る単位系は、趣旨が一致しないようですが、この点は本論に関係無いので割愛します。
当概念図は、当方が自習用に作成したものであり、晋書所収の司馬法は、言葉の定義だけですから、概念図の出来具合は本論に関係無いのです。
*綿密な単位体系
周制に始まる「単位系」は、このように綿密に築かれているので、里を1/6、6倍に伸縮すると、尺、歩に始まり畿(一辺千里)に至る単位系の階梯が乱れるので、混乱無しに実施できないのです。
なお、里に始まり、歩、尺に下る部分は、歴年保守されてきた土地台帳に常用されている「畝」を含んでいるので、社会的に大混乱を起こさず実施することはできないのです。
総じて言うと、周制でこうした単位系が始めて構築、公布されて確定して以降、里長の伸縮は、歴史に深い刻印を残さずには不可能だったのです。
*周制以降
なお、ここで提示しているのは、殷周革命により周が天下を把握して、相当部分で殷制を踏襲した「周制」の公布後は、全単位系を動揺させることなく里を伸縮することは不可能、というだけです。
里長や換算係数の当否は本論に関係無いので議論しません。
司馬法の「周制」以前、つまり、商(殷)の単位系は、史料に残されてないので実体不明であり、短里の由来や時間的、空間的棲息範囲は、今となっては憶測しかできないのです。
倭人伝が、地域制度倭人伝限定の里制の孤証です。例外として適用されているので、当然、他に用例はありません。
未完
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